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生薬・漢方薬

「サンシシ」を含む漢方の注意すべき副作用(腸間膜静脈硬化症)について~ざっくりと~

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ドラッグストアでも手軽に買える「防風通聖散」など
ちょっとした落とし穴を説明。服用する際は十分注意すること

サンシシ:クチナシの果実を乾燥させた生薬である。

①「サンシシ」の長期服用による注意点・副作用

長期に「サンシシ」を含む漢方薬を服用する場合

「腸間膜静脈硬化症」に注意する

※ツムラ黄連解毒湯の添付文書の引用

「サンシシ含有製剤の長期投与(多くは5年以上)により、大腸の色調異常、浮腫、びらん、潰瘍、狭窄を伴う腸間膜静脈硬化症があらわれるおそれがある。長期投与する場合にあっては、定期的にCT、大腸内視鏡等の検査を行うことが望ましい。」

「長期投与により、腸間膜静脈硬化症があらわれることがある。腹痛、下痢、便秘、腹部膨満等が繰り返しあらわれた場合、又は便潜血陽性になった場合には投与を中止し、CT、大腸内視鏡等の検査を実施するとともに、適切な処置を行うこと。なお、腸管切除術に至った症例も報告されている。」

※「腸間膜静脈硬化症」が原因の還流障害による
慢性虚血性大腸病変を「突発性腸間静脈硬化症(IMP)」という。
1991年に初めて報告された。

※DSUにも載っている(2018年3月No267参照)

※病変部位は、回盲部から肛門側までがほとんど。

②原因

なぜ5年?

突発性腸間膜静脈硬化症(IMP)の全国調査において
222例中で漢方服用歴があるのは147例
そのうち「サンシシ」含有処方は、119例
「サンシシ」含有漢方薬の服用期間は平均13.6年
5年以上が92.6%
10年以上が69.5%

上記の5年以上という根拠はここ。
明確な原因は特定されていないが、「サンシシ」の関与が考えられる。

考えられている原因


成分である配糖体「ゲニポシド」が、腸内細菌によって
大腸で糖の部分が外され刺激性物質(ゲニピン)となる。



「ゲニピン」が大腸から吸収され、腸間膜と肝臓の間で
静脈の血管壁を障害(血流のうっ滞)



血流が阻害され、腸管が慢性的に虚血状態になる



上腸間膜静脈壁肥厚、石灰沈着を引き起こす

と言われている。

※症状
「腹痛」、「下痢」、「悪心」、「嘔吐」、「下血」「便潜血の陽性」
長期服用している場合で上記の症状が繰り返す場合は注意
一番多いものは「腹痛(右側)」だが無症状のことも多い。

※対処としては、「サンシシ」を含む漢方薬を中止する

③「サンシシ」を含む漢方薬は?

黄連解毒湯
加味逍遥散
清上防風湯
辛夷清肺湯
防風通聖散など



テレビCMでもお馴染みの
防風通聖散は、ドラッグストアで買っている人も多く 注意が必要だろう。
「服用期間」「お腹の症状はどうか」確認してはどうだろうか。
一般の人にも知ってほしい知識である。

④その他(尿の着色)

「サンシシ」に含まれる「ゲニポシド」が腸内細菌で加水分解され、
蛋白に結合したときに尿の色が青色~緑色に着色することがある。

参考資料
ツムラ黄連解毒湯の添付文書
DSU(2018年3月No267)
日本薬剤師会雑誌 2019.3 p384