チアマゾール(メルカゾール)とプロピルチオウラシル(チウラジール、プロパジール)の違い について整理する。
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メルカゾールと無顆粒球症 について
①チアマゾール(メルカゾール®)について
効果がプロパジール(チウラジール®)よりもあるため第一選択薬である。
1日1回服用(服用時間帯に関係なく効果は同じ)
→昼夜逆転の生活の人などは「朝」である必要はない。
基本内服剤だが、緊急の際(経口投与が不可の場合) 注射剤を用いる。
副作用や催奇形性
「肝障害」や「血管炎症候群」がチウラジールよりも少ない。
妊娠初期(2ヶ月くらいまで)の服用で先天異常があるという報告がある。
「催奇形成」に注意注意(3~4%)
→「用量」に関係なく起こりうる。
できる限り妊娠6週以前に中止すべきとされている。
(妊娠可能性がある人には事前に伝えておかないといけない)
※妊娠に気づいたとき2ヶ月経っているとか割とあることなので
本当に注意が必要!
母乳:10mg/日までなら乳児の甲状腺機能への影響を考えることなく、
母乳育児とも両立可能 。
②プロピルチオウラシル(チウラジール®、プロパジール®)について
効果は、チアマゾール(メルカゾール®)よりも劣る。
1日複数回(2~3回)服用
→コンプライアンス不良の原因になりうる。
飲み忘れに気づいたら通常、気づいたときに1錠服用し、次回は予定通り服用する。
1日全部飲み忘れたら、次の日からは通常通りの量で服用する。
催奇形性
「催奇形成」は、チアマゾールより少ない(2~3%)。
妊娠や出産を望む場合はこちらを服用するのが無難。
母乳:300mg/日までなら乳児の甲状腺機能への影響を考えることなく、
母乳育児とも両立可能
③共通点(主に副作用)
抗甲状腺薬は「用量依存的」に副作用が上昇するのでできる限り低用量が基本。
「無顆粒球症」や「顆粒球減少症」に注意
(どちらの頻度が多いかは不明。さまざまな報告がある。)
服用開始2ヶ月以内に起こりやすい。
服用開始して2ヶ月間は2週間ごとに血液検査を行うことが勧められる。
→初めてで1ヶ月で処方されていたら注意
自覚症状:38℃以上の熱、咽頭痛など風邪のような症状が出たら注意
重症肝障害
頻度は0.1~0.2%程度(プロピルチルウラシルの方がやや多い)
服用開始2~3ヶ月後に起こりやすい。
補足
チアマゾール15mgとプロピルチオウラシル300mgが同等という報告がある
(経験的に1:10とすることもある。)
切り替える場合は参考にする。
参考資料
甲状腺学会 これから妊娠されるバセドウ病の患者さんへ(2011.11.30)
母乳とくすりハンドブック2017改訂3版
日本甲状腺学会:バセドウ病治療ガイドライン2011
Nakamura H, et al : J Clin Endocrinol Metab, 92(6) : 2157-2162
Comparison of methimazole and propylthiouracil in patients with hyperthyroidism caused by Graves' disease.