トラマドール を含む薬剤(弱オピオイド)は、
トラマール®、トラムセット®、ワントラム®がある。
コデインの代替薬として推奨されており、コデイン似た合成化合物。
トラムセットの特徴はこちらの記事も参照
トラマドールの別記事はこちら
トラマール(トラマドール)の特徴について
①トラマドール の鎮痛作用
ポイントは、「上行路」と「下行路」の両方に作用する。
「上行路」と「下行路」の詳細は今回載せていない。
μオピオイド受容体への作用
μオピオイド受容体への弱い親和性がある。
μオピオイド受容体に結合する。
↓
作動性による上行伝導路の抑制
※代謝物のモノ-O-脱メチル体は、μ受容体に対して
未変化体より親和性があると言われている。薬効にも関与?
再取り込み阻害作用
ノルアドレナリン・セロトニンの再取り込み阻害作用
↓
下行抑制路の活性化
※セロトニン症候群注意
※モルヒネの効力を1としたときの力価は5分の1
②トラマールの使い方を再確認
添付文書の記載
「通常、成人にはトラマドール塩酸塩として1日100~300mgを4回に分割経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減する。ただし1回100mg、
1日400mgを超えないこととする。」
※安全性を考慮して開始量は25mgが望ましいとされている
※増減は1回25mg(4回服用時は100mg)ずつ行うことが望ましい。
※慢性疼痛に用いる場合、4週間投与して効果がないなら他の適切な治療を考慮する
③適応症の違い
トラマール®
非オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患における鎮痛
・疼痛を伴う各種癌
・慢性疼痛
トラムセット®
非オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患における鎮痛
・非がん性慢性疼痛
・抜歯後の疼痛
ワントラム®
非オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記における鎮痛
・疼痛を伴う各種癌
・慢性疼痛
※トラムセット®は「非がん性」
※トラマール®とワントラム®は適応症が同じ
④トラマドール と呼吸抑制(重大な副作用)
トラマドールおよび活性代謝物であるM1 が・・・
↓
延髄の呼吸中枢にあるμオピオイド受容体の アゴニストとして作用する。
↓
「呼吸抑制」を起こしうる
※トラマドールの副作用は用量依存的である
※400mgを超えるとてんかん(けいれん)発作が起こることがある。
⑤補足
・WHO方式がん疼痛ステップ2
・軽度から中等度の痛みに対する治療に用いる
・「慢性疼痛」に広使われている
・コデインの類縁物質、ラセミ体等量混合物
・代謝はCYP2D6、CYP3A4
・代謝物の90%程が腎臓から排泄される。
未変化体尿中排泄率は低く腎機能低下時でもほとんど影響しない
→肝機能の方を注意する。
参考資料
トラマール®添付文書・インタビューフォーム
トラムセット®添付文書・インタビューフォーム
ワントラム®添付文書・インタビューフォーム