胃を切除した場合、ダインピング症候群が起こってしまう。
それについてざっくりとまとめる。
ダンピング症候群は2種類(早期、後期)あり、今回のケースは低血糖が起こっていると思われるため「後期ダンピング症候群」と考えられる。
①ダンピング症候群
胃切除手術を受けた人の15~30%にみられる胃切除後症候群で、
炭水化物が急速に小腸に流入するために起こる。食事中や食後の直後に症状が現れる早期ダンピング症候群と、
食後2~3時間たってから現れる後期ダンピング症候群に分けられる。
低血糖症状が起こるのは、後期ダンピング症候群である。
②早期ダンピング症候群
胃を切除してしまうと、胃液の分泌量が低下する
↓
胃の貯留機能の失われるために、浸透圧の高い食べ物が 胃の中に入ると、
その一部はそのままあふれるように腸内に急速に排出される。
↓
不快な症状が食後30分以内におこる場合
「早期ダンピング症候群」という。
症状
全身症状と消化器症状を生じる。
全身症状:「全身のだるさ」、「冷や汗」、「頻脈」、「めまい」など
消化器症状:「腹痛」、「腹鳴」、「下痢」、「吐き気・嘔吐」など
日が経つにつれて症状が軽くなる人が多い。
要因
早期ダンピング症候群は、胃の排出調節機構が破綻していることが原因で起こる
食べ物が急速に空腸に送られるのは、
セロトニン、ヒスタミン、ブラジキニンなどの胃腸の運動を活発にする
生理活性物質の放出が増えることと、
自律神経の働きが異常になるためと考えられている。
治療・対策
・食事
たんぱく質と脂質が多く、糖質(炭水化物)の少ない食事を、
1日に5~6回に分けて、少しずつ食べるようにする。
冷たい飲食物は避ける。(刺激となる)
食後20~30分、横に寝ると楽になる。
・治療薬
抗ヒスタミン薬
抗ガストリン剤
抗コリン薬
抗不安薬
などを用いることもある。
②後期(晩期)ダンピング症候群
低血糖が大きな原因で起こることから、
後発性低血糖症候群ともよばれている。
食後2~3時間後に不快な症状に悩まされる。
症状
そろそろ空腹を感じるかな?という時間帯に
「脱力感(からだに力が入らない)」、「めまい」、「冷や汗」
などの低血糖の症状が現われてくる。
要因
胃の内容物が急速に排出される。
↓
腸管からの炭水化物の吸収が増える。
↓
高血糖になる。
↓
そこでインスリンが過剰分泌されてしまう。
↓
その結果、逆に低血糖になってしまうことで起こる。
多くの場合は、早期ダンピング症候群に引き続いて起こる。
治療
・食事
1回の食事の量を少なくし、ゆっくりと食べる。
間食をとる。
飴やブドウ糖を常に持っておく。
・治療薬
小腸での急激な栄養の吸収を抑えるために
α‐グルコシダーゼ阻害剤が使用されることがある。
その他
ダンピング症候群は、食物の小腸への急速な流入に加えて、
リンパ節の喪失による腹水の循環不全、蠕動運動の乱れなどがあると、
食後の苦しみは増えてしまう。また、
精神的な問題もあり、「食べると苦しい」とか「きつい」
というのがストレスとなって、症状が悪くなってしまうこともある。