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胃腸・消化器関連 薬物動態・相互作用

エンテカビル(バラクルード®)の空腹時服用の理由と肝機能障害について

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エンテカビル(バラクルード®)の空腹時服用の理由と肝機能障害について
ざっくりまとめる。
色々な薬剤でいちいち「食前」「空腹時」の理由を整理しているが、個人的には結構大切だと思っている。やはり「どれくらい効果が落ちる」とか「逆に効きすぎて危険」とか説明する使命が薬剤師にはある。

①空腹時服用の理由

用法・用量

「本剤は,空腹時(食後2時間以降かつ次の食事の2時間以上前)に経口投与する。 通常,成人にはエンテカビルとして0.5mgを1日1回経口投 与する。なお,ラミブジン不応(ラミブジン投与中にB型肝炎ウイルス血症が認められる又はラミブジン耐性変異ウイルスを有するなど)患者には,エンテカビルとして1mgを1日1回経口投与することが推奨される。」



「空腹時」としっかり書かれている。

用法・用量に関連する使用上の注意

「本剤は食事の影響により吸収率が低下するので,空腹時(食後2時間以降かつ次の食事の2時間以上前)に投与すること」



吸収が低下すると記載されている



では「どれくらい」なのか?

インタビューフォームの食事の影響を見ると

「健康成人男子を対象にエンテカビル0.5mgを空腹時又は標準高脂肪食(945kcal、脂肪54.6g)後又は軽食 (379kcal、脂肪8.2g)後に単回経口投与した場合、食後では空腹時に対し、吸収(tmax)はわずかに遅延し、Cmaxが44〜46%、AUCが18〜20%低下したことから、食事により影響を受ける薬剤であることが確認された。」



AUCは、体に入る全体的な量みたいなイメージなので
それが、20%くらい下がる。
吸収量が8割くらいに減少することになるので「空腹時」がよい。
患者から質問があったら何となく答えられると
「それなら空腹のときに飲もう」となると思う。

※高脂肪食と軽食の差はない

②肝機能障害について(添付文書より)

用法・用量に関連する使用上の注意

「本剤は,投与中止により肝機能の悪化もしくは肝炎の重症化を起こすことがある。本内容を患者に説明し, 患者が自己の判断で投与を中止しないように十分指導すること」



まずアドヒアランスが大切である。
治療完了後も肝機能の悪化の注意が必要であるが、つまり、
自己中止すると危険であることを説明する必要がある。

基本的に患者は自覚症状がないと
自己判断で止めることがある。
本当にダメだということを説明する必要があるだろう。

重要な基本的な注意

「本剤の投与中は定期的に肝機能検査を行うなど十分注意すること」



副作用の項を見ると・・・(一部抜粋)

「国内で実施した臨床試験において,本剤0.5mg,1 mgを1日1回投与されたラミブジン不応の患者84例中29.8%に中等度以上の副作用が認められた。
主な副作用は 鼻咽頭炎(8.3%),頭痛(4.8%),下痢(2.4%),背部痛(2.4 %),不眠症(2.4%)等であった。
また,副作用としての臨床検査値の異常は,26.2%に認められ,
主なものは,リパ ーゼ増加(13.1%),ALT(GPT)上昇(8.3%),AST(GOT)上昇(6.0%)等であった。
なお,治療中に発現した肝機能に関連する臨床検査値異常は,
ALT(GPT)(>10×ULNかつ> 2 ×投与前値)が3.6%,
ALT(GPT)(> 3 ×投与前値)が3.6%,
リパーゼ(> 3 ×投 与前値)が1.2%
であった。 」



意外と5%から10%くらいの人には検査値以上が出るので
しっかり検査データを見せてもらって薬歴に記載した方がいいと
個人的に思う。
一応急激な上昇だったり、他の薬剤との併用の可能性もあるので
総合的に評価するために見せてもらおう。
副作用チェックは薬剤師の大切な仕事の一つである。

参考資料
バラクルード®添付文書、インタビューフォーム