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輸血後鉄過剰症について~ヒトは鉄を排出するのが苦手!?~

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輸血後鉄過剰症について~ヒトは鉄を排出するのが苦手!?~

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①なぜ鉄過剰になるのか?

再生不良性貧血(AA)や骨髄異形成症候群(MDS)などの難治性貧血疾患では、何回も(頻回に)赤血球輸血を行う

人は鉄を効率よく排出する機能がない。
※赤血球輸血製剤は1単位あたり約100 mgの鉄を含んでいる
※排出は1日あたり1 mg程度に限られる

過剰に蓄積された鉄は、主に肝臓、心臓、すい臓などの内分泌腺
に沈着する

肝障害、心不全などの不可逆的な臓器障害を起こす
※不可逆的・・・

補足

「輸血後鉄過剰症」「慢性鉄過剰症」は、上記のような血液疾患に対する
赤血球輸血により生じる重篤な合併症である。

②体内鉄と活性酸素

具体的にどうして臓器障害を起こすのか?

・鉄による組織傷害について
主に活性酸素種(reactive oxygen species: ROS) の産生によって起こる。

遊離二価鉄 (Fe2+) は過酸化水素 (H2O2) と反応して
水酸基ラジカル (・OH) を産生する。

細胞内脂質,蛋白,核酸を傷害して細胞障害を起こす

※・OH はTGF-β産生を増加させ組織の線維化を誘導する報告がある。
※三価鉄(Fe3+)はスーパーオキサイド (・O2-) と反応することでFe2+に変化し,やはり・OHの産生する。

以上のように様々な反応によりラジカルを発生させてしまい、臓器障害を引き起こしてしまう・・・

③ 輸血後鉄過剰症の診断・重症度基準について

診断基準

総赤血球輸血量20単位 (小児の場合,ヒト赤血球濃厚液50 ml/体重kg) 以上,
かつ血清フェリチン値500ng/ml以上

重症度基準

血清フェリチン値重症度

>500ng/ml:Stage 1
>1,000ng/ml:Stage 2
>2,500ng/ml:Stage 3
>5,000ng/ml:Stage 4

※鉄キレート剤により,血清フェリチン値を500〜1,000 ng/mlに維持する。

臓器障害は?

臓器障害 (心機能障害,肝機能障害,膵内分泌機能障害) が
認められない場合をA、認められる場合をBとしてStageと併記。

•臓器障害は以下の基準で診断

心機能障害: 左室駆出率 (LVEF) <50%
肝機能障害: 「肝酵素異常」、「肝線維化」、「肝硬変」の所見
膵内分泌機能障害: 「耐糖能低下」の所見

※なかなか薬剤師的に臓器障害を判断するのは難しそう
左室駆出率、肝酵素異常と耐糖能低下くらいだろうか・・・

④補足:

厚生労働省特発性造血障害に関する調査研究班により
「輸血依存性の再生不良性貧血AA、骨髄異形成症候群MDS 及びその他の難治性貧血患者 292 例の調査が行われ、75 例の死亡例中、鉄過剰の関与が疑われる心不全(24%)、肝不全(6.7%)が全死亡原因の約3割を占める」

※輸血による死亡例があることを知っておこう・・・3割・・・

参考資料
Takahiro Suzuki
Pathophysiology and treatment for transfusional iron overload
小澤敬也:輸血後鉄過剰症の診療ガイド 
鈴木隆浩:輸血後鉄過剰症の病態と治療 ,北里医学 2017; 47: 1-9

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