尿のpHは基本的に腎臓の働きにより酸塩基平衡が保たれており
弱酸性になっている。この検査のみで病気を特定することは出来ないが目安として大切なので簡単にまとめる。
クリニックなどでは、その日のうちに採血結果が出ない項目などもあり
尿検査などは大切だと思われる。
また、薬剤師としても食事指導や薬の影響の評価に使えると思うので
知っておくとよい。
①尿検査のpHについて
通常より尿が、酸性、アルカリ性どちらに傾くのもよくない
そもそも、食べたものの影響を受けやすい
一般的に動物性食品過剰摂取→酸性
植物性食品過剰摂取→アルカリ性
となる。
基準値:pH5から8.5(施設により基準値設定が異なる)
基準値に幅があるのは、食事の摂り方で酸の量が変わるためです。
②酸性を示す場合
一般に尿は濃い
発熱や下痢でも酸性を示すことがある。
睡眠中、呼吸が減って、肺換気が低下するためCO2がたまる
→尿は酸性に傾く。
食事直後の尿では酸性度が減じ、1~2時間で再び戻ることが分かっている。
代謝性アシドーシス
体内で劇的に酸の産生が増加する時と酸の排泄能が低下する時などがある。
酸の産生が増加する例:糖尿病、飢餓、乳酸蓄積、痛風、脱水、
酸の排泄が低下する例:尿毒症性アシドーシス
※尿中尿酸溶解度は、尿のpHの影響を受けやすい
酸性側では溶解度が低下する
→血清尿酸値上昇と尿pHの低下はCKDのリスクが上昇することが分かっている
CKD:慢性腎臓病
呼吸性アシドーシス
肺換気が低下し、CO2の排泄が十分でなく、体内に蓄積すると
炭酸が増えるためアシドーシスとなる。
食事の影響
肉類、魚類、卵、砂糖、穀類などの摂取。
野菜不足になると酸性になりやすい
③アルカリ性を示す場合
一般に尿は淡い。
代謝性アルカローシス
細胞外液のH+が、腎臓や胃腸管などから体外へ失われるとき
呼吸性アルカローシス
過呼吸の状態
過換気によりCO2が必要以上に排泄されるとき
簡単に言うと、炭酸の排泄のため、酸が減る。
食事の影響
野菜類、果実類、海藻、キノコ類、大豆の摂取
薬剤の影響
・クエン酸カリウムのようなアルカリ塩類
※酸性尿を伴う尿路結石の場合、薬剤でアルカリ尿にする
シユウ酸カルシウム、尿酸など
・制酸剤
・重曹(炭酸水素ナトリウム)
尿路の細菌感染症
細菌(とくに変形菌)などは尿中の尿素を分解しアンモニアを産生する。
ウレアーゼ産生菌による尿路感染症→高アンモニア血症の原因となりうる。
※ちなみに長時間尿を放置すると、細菌に汚染されて尿素を分解することでアンモニアを産生するのでアルカリ性を示す。