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薬物動態・相互作用 高尿酸血症・痛風

尿酸輸送のトランスポーターについて~再吸収と分泌に関わるもの~

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尿酸は、プリン体の肝臓における生合成と食事からの摂取により産生される
約 2/3 が腎臓から尿中に排泄され、
約 1/3 が腸管から糞中に排泄される。

腎臓において、尿酸は糸球体で 100%ろ過され、近位尿細管における再吸収、分泌の過程を経て、糸球体でろ過された尿酸の約10%が尿中に排泄される。
その排泄、分泌に関わるトランスポーターについて簡単にまとめる。

①尿酸の再吸収に関わるもの

腎性の低尿酸血症というものがあるが、1型と2型がある。
ざっと型を説明すると・・・
URAT1の遺伝子異常があるもの1型
URATv1の遺伝子異常があるもの2型

つまり、2つのトランスポーターは違うことを知っておくと良い。

URAT1(Urate transporter 1)

腎特異的な尿酸排泄トランスポーターである。
腎臓近位尿細管管腔側膜に発現している。
時間依存的であり、ナトリウム濃度や膜電位には非依存性である。
尿酸/アニオン交換輸送体に分類される。

※よく問題となる高尿酸血症の機序

メタボリックシンドロームや肥満があるとインスリン抵抗性↑

高インスリン血症を引き起こす

URAT1を介した尿酸再吸収の亢進する

血中尿酸が増加する
(高尿酸血症となる)

URATv1(Urate transporter v1/GLUT9)

電位依存性の尿酸排泄トランスポーターである。
尿細管細胞の基底膜側(血管側)に発現している。

有機トランスポーター(OAT4,10等)

今回はOAT4にのみスポットを当てる
OH-イオンと交換して尿酸を取り込むトランスポーター。
トリクロルメチアジドを使った試験で、尿酸の取り込みが増大することから
トリクロルメチアジドによる高尿酸血症に関係している?
と言われている。

②尿酸分泌に関わるもの

OAT、ABCG2以外にも電位依存性の有機トランスポーターNPT1やABCトランスポーターのMRP4などがある。
分からないことが多いので強調せずにさらっと載せる。
今後興味が出てきたら詳しく調べる予定。

ABCG2(ATP-binding cassette sub-family G member 2)

ABCG2は、腎臓(近位尿細管)だけでなく糞中での尿酸分泌にも関与している。

有機トランスポーターOAT1(Organic anion transporter 1)

近位尿細管の基底膜側に発現している
パラアミノ馬尿酸などの有機酸とジカルボン酸の交換輸送をする

有機トランスポーターOAT2(Organic anion transporter 2)

ヒトの腎臓の基底膜側に発現している
(詳細不明のため現在調べ中)

有機トランスポーターOAT3(Organic anion transporter 3)

近位尿細管の基底膜側に発現している
ステロイド硫酸抱合体などの有機酸とジカルボン酸の交換輸送

参考資料
尿酸代謝異常,大塚基司:日腎会誌 2015;57(4):766‒773.
Sica DA, et al. The Kidney 6th ed. 2000; 680-700
Matsuo H, et al. Sci Transl Med 2009; 1: 5ra11
Kakutani-Hatayama M, et al. Am J Lifestyle Med 2015; 11: 321-9
Enomoto A, et al. Nature 2002; 417: 447-52