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その他 薬物動態・相互作用

ピロカルピン(サラジェン®)の服用方法~食後の理由~

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「シェーグレン症候群患者の口腔乾燥症状の改善」などに用いる薬である。飲み方に特徴があるため服薬指導の際には伝える必要がある。

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ピロカルピン(サラジェン®)の薬理作用と特徴について

①用法用量

「通常,成人にはピロカルピン塩酸塩として1回5mg を1日3回,食後に経口投与する。本剤の投与は空腹時を避け,食後 30 分以内とすること。」

※空腹時を避ける必要がある。
メーカーに問い合わせてみたので「食後」服用の理由について簡単にまとめる。

②食後の理由

空腹時服用の理由について

空腹時だと副作用が増える?

メーカーに問い合わせたり、インタビューフォームを見ると・・・
ポイントとしては、
空腹時だと副作用のリスクが上がる可能性があるということ。
空腹時反復投与の第Ⅰ相臨床試験の結果から
「発汗」「ほてり」「悪寒」「下腹部痛」「排尿痛」などが多く発現することが分かっている。
ただし、機序のような理由は分かっておらず、
臨床試験の結果からのみ設定されている。できる限り副作用のリスクを下げるために「食後」の記載となっている。
日本以外の国の中には、「食後」の記載がない場合もある。
また、「食前」と「食後」での血中濃度の差はほとんどないのが面白いところ。

インタビューフォームには下記のように書かれている。

「本剤の体内動態に及ぼす食事の影響は,2種類の臨床薬理試験で検討されており,いずれの試験においても,食事摂取による本剤の血漿中薬物動態への大きな影響は認められていないが,空腹時反復投与を行った第Ⅰ相臨床試験では本剤の薬理作用に起因する副作用が多く発現したことから,本剤は空腹時を避けて投与すべきであると判断した。サラジェン錠承認時(頭頸部の放射線治療に伴う口腔乾燥症状の改善)の第Ⅲ相臨床試験では,食直後投与により,本剤は口腔乾燥感及び口腔乾燥症に伴う日常生活の障害度(会話障害,摂食障害及び睡眠障害)を改善し,口腔乾燥症状の改善を裏付ける補助療法の使用頻度を有意に減少することが確認された。これらのことから,本剤の空腹時投与による副作用発現をできる限り回避するための適正な使用の情報として,「本剤の投与は空腹時を避け,食後 30 分以内とする」ことを用法・用量に関連する注意事項として記載した。
なお,本剤は増量により副作用の発現率の増加が予想されるため,1回5mg を超える増量は行わないように注意すること」

参考データ(臨床薬理試験)

8例と少ないのが気になるが、食前投与での影響に言及されているので見ておくと良いと思う。

「健康成人男性8例にピロカルピン塩酸塩錠5mg(4日目以降2.5mg)を1日3回,7日間食前経口投与したところ,投与3日目まで1回5mg の投与により,悪寒,下腹部痛,排尿時痛及び残尿感などの副作用が発現し,1回 2.5mg に減量せざるを得なかった。減量によりその大部分が消失したが,2例において排尿時痛や残尿感が続き,投与を中止した。また健康成人男性8例にピロカルピン塩酸塩錠5mg を1日3回,6日間食直後経口投与したところ,発汗,体のほてりなどの副作用はみられたが,忍容性は良好であった。」

参考資料
サラジェン®添付文書、インタビューフォーム