" />

高齢者

ポリファーマシー(多剤併用)について~何剤からポリファーマシーなのか?~

スポンサーリンク

何剤からがポリファーマシーなのか?

①ポリファーマシーとは?

ざっくり言うと「多剤併用」ということを指す

ただし、これだと勘違いする可能性がある

重要なことは、
「必要以上の薬が処方されている。あるいは不必要な薬が処方されている状態」

※2剤であっても漫然と「不必要な」薬が処方されていればポリファーマシーの可能性がある。

ビタミン剤など注意。

※10剤飲んでいても、それが慎重に投与されて害より益が明らかに上回っている

→これはポリファーマシーとは言わない。

疾患によっては本当に色々な薬が必要なこともある。

②添付文書上での記載例

ビタミン剤などは「添付文書上」にも「漫然と投与しないように」という記載がある

ビタメジン®配合カプセル

効能又は効果/用法及び用量の註

効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない

シナール®配合錠

効能・効果

「本剤に含まれるビタミン類の需要が増大し,食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患,妊産婦,授乳婦等),炎症後の色素沈着 なお,効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。 」

メチコバール®錠

効能又は効果に関連する使用上の注意

本剤投与で効果が認められない場合、月余にわたって漫然と使用すべきでない。

③何剤からポリファーマシーなのか?


・「6剤」以上がポリファーマシーと言われている。

・ 6剤以上か5剤以上で薬剤有害事象が増えるという報告がある。
どっちか決めるなら・・・「6剤」以上

・ポリファーマシーについては様々な報告ある (以下報告例)

「大病院老年病科において(n=2412)
6~7剤(種類)を超えると薬物有害事象が増えることが示されている 」

「都内診療所(n=165)
5~6剤(種類)以上で転倒のリスクが増えるということが示されている」

Kojima T, Akishita M, et al. Geriatr Gerontol Int 2012

補足

さらに、年齢的なリスク増加もある
75歳以上から薬物有害事象が増える

鳥居研二ほか:日本老年医学会雑誌 1999:36:182

④ポリファーマシーの上流にあるものを考える

いったい「なぜ」ポリファーマシーになるのか?

1疾患あたりの薬剤は、平均「1.3剤」である。
(この数字は知っておくと良い)

※これは年代ごとにあまり変わりがないとのこと

つまり、年を取ると現疾患が増え、それが原因で薬剤の種類が増加していることになる。

疾患が増えないようにするにはどうするか考える必要がある。

私見として・・・

薬局薬剤師でも考えるべきことはたくさんあるはずである。

高血圧に対してカルシウム拮抗薬が処方されており、
ある時から「夜間頻尿」の訴えがあったとする・・・
医師がその「夜間頻尿」に対してベタニス®を処方したとしたら・・・
それだけで薬が増えてしまうのだ。

必ずしも薬剤が原因とは限らないが・・・
薬剤師としては「カルシウム拮抗薬が原因かもしれない」という思考は必要だろう。

薬の副作用によって、その人の病名(疾患)が増えている可能性だってあるのだ。

参考資料・文献
ビタメジン®配合カプセル、シナール®配合錠、メチコバール®配合錠添付文書
Kojima T, Akishita M, et al. Geriatr Gerontol Int 2012
鳥居研二ほか:日本老年医学会雑誌 1999:36:182
高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015