慢性閉塞性肺疾患の合併症と併存症 について違いや例などを整理する。
おまけ:薬局での対応~息切れ~
について簡単にまとめている
慢性閉塞性肺疾患の合併症と併存症
合併症と併存症の違い
日本呼吸器学会 COPD ガイドライン第 4 版では、肺合併症と全身併存症という言葉で示されている。
つまり、COPD以外の病気が肺にあれば合併症、肺以外の場所にあれば併存症と区別されている。
海外では特に区別していない場合があるが、一応日本のガイドラインではこうなっている。
また、COPDは併存症が多いことで知られている
併存症の例
うっ血性心不全、冠動脈疾患(心筋梗塞)、高血圧、脳血管障害、
骨粗鬆症、関節炎、悪性腫瘍(肺癌)、うつ、脂質異常症、糖尿病
白内障、緑内障
などが報告されている。
COPDにより全身が炎症してしまうことが原因とも考えられている。
血管系、骨、代謝系、眼と幅が広いのが厄介・・・
ある報告では、
高血圧→60.4%
関節炎→54.6%,
脂質異常症→47.6%
となっており、かなり頻度が高い。
※薬剤師として考えさせられること
COPDの治療としてβ刺激薬や抗コリン薬を吸入するが・・・薬による心臓などへの負担があるため非常に悩ましい現実があると思う。
おまけ:薬局での対応~息切れ~
COPDの増悪(悪くなること)について、何を見ればいいか難しい。
COPDの治療をしていて落ち着いても7割くらいの人は、
「咳」「痰」「息切れ」の症状が残っている。
風邪症状などで「咳」や「痰」が増えれば、増悪したことになるのだ。
薬局でも聞き取りは出来るので「息切れ」について尋ねてみてはどうだろう。
質問の例は、
「階段を上ったときに息切れしませんか?」
「駐車場から病院や薬局まであるいて息切れしませんか?」
「重いものを持って息切れしませんか?」
など色々考えられると思う。
いつもより「息切れ」がひどくなっていないか・・・
長引いていないか・・・
アンテナを張ってみると面白いかもしれない
※別件だが、風邪を引きやすい人で、
1年に何回も抗菌薬を病院でもらう人は、COPDの可能性があるので専門医への受診を勧めるのも良い。
参考資料
日本呼吸器学会 COPD ガイドライン第 4 版作成委員会.COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第 4 版.2013
Schnell K, et al. The prevalence of clinically-relevant comorbid conditions in patients with physician-diagnosed COPD: a cross-sectional study using
data from NHANES 1999-2008. BMC Pulm Med
2012; 12: 26.
併存症・合併症のインパクトとその対策2014 室 繁郎