アミラーゼ のアイソザイムについて触れる。まずはアミラーゼの事から押えてみよう。
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①アミラーゼ
健康診断では、よく膵疾患を見るために測定される。
アイソザイムではなく、アミラーゼのみ数値として表示されていることがほとんどだと思われる。
何を見るのかと言うと・・・
例えば、慢性膵炎や膵がんになると上昇する場合がある。
アミラーゼ とは?
アミラーゼは、膵臓から分泌される消化酵素である
多糖類(デンプン、グリコーゲンなど)をマルトースまで加水分解する働きがある。
体内分布
「膵臓」、「唾液腺」に多く分布している。
また、その他の分布場所として
「肝臓、肺、小腸、卵巣」等にも認められている。
※逸脱酵素であり、臓器障害があると血液中に流れ出る。
(上昇する)
なぜ上昇するのか?
がん自体がアミラーゼなどを大量に出しているわけではない。
炎症やがん等によって、膵管が閉塞してしまうと
膵液の流れが悪くなってしまう。
その結果、膵液がたくさん産生されるのだ。
(アミラーゼが上昇する)
※また、逸脱酵素のため、臓器障害があると流出し、アミラーゼは上昇する。
②アミラーゼ のアイソザイム
アイソザイムの分析は高アミラーゼ血症や低アミラーゼ血症の原因検索のために有用である。確定診断は難しいが参考になる。
アイソザイムについて
血清や尿中には、P(膵型)型と、S(唾液腺型)型の2種類のアイソザイムが存在する。①の分布のところで膵臓と唾液腺に多く存在すると述べたが、それに基づいている。
まずは、PとSがあることを覚えると良い。
ざっくり言うと
膵臓かそれ以外かでアイソザイムのどちらが上昇するかが分かる。
そのため、アイソザイムの測定をする際は、この辺を除外したり予想するために行う。
・急性膵炎や慢性活動性膵炎ではP型が上昇する
・膵疾患以外の高アミラーゼ血症の場合はほとんどS型アミラーゼの増加が見られる。
・一部のがん(肺小細胞癌、卵巣癌等)でも
膵臓や唾液腺以外からのアミラーゼを産生するが、S型アミラーゼの上昇が見られる。(その他の分布場所をみると分かりすい)
※非膵疾患はすべてS型が上昇として認められる。
S型アミラーゼが上昇する疾患では、他の血中膵酵素の異常は伴わないことが多い。
P型が高値の例
・急性膵炎
・慢性膵炎再燃期
・膵臓癌
・胆道癌
・糖尿病
等
S型が高値の例
・流行性耳下腺炎(ムンプス)
・アミラーゼ産生腫瘍(肺癌、卵巣癌、骨髄腫など)
・肝障害
・肺炎
・肺結核
・手術後
・外傷後・熱傷後
等
P型・S型が共に高値の例
・慢性腎不全
・慢性肝炎
・肝硬変
・慢性肝炎の一部
等
P型が低値の例
・慢性膵炎(末期)
・膵臓癌
・膵切除後
等
S型が低値の例
・シェーグレン症候群
・頸部や下顎部への放射線治療後
等
補足:アミラーゼが高値だった場合の次のステップ
エコーが非侵襲的で使いやすい。
精度は造影CTに劣る。また、術者の技術に左右されるのと
肥満な人などは映りが悪かったりするので向き不向きがあるので注意が必要である。