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糖尿病・糖尿病治療薬

メトホルミンとピオグリタゾンの違い ・比較

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メトホルミンとピオグリタゾンの違い ・比較について簡単にまとめる。安全性や値段の面からも基本的にはメトホルミンを優先した方が良い。非常に理解しにくいが・・・(個人的に)

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メトホルミン(メトグルコ®)の薬理作用について~今後追記予定~ 

メトホルミンとピオグリタゾンの違い ・比較

似た部分もあり、例えば、インスリンの抵抗性を改善するという作用自体は両方とも有している。

作用・服用の違い

【ピオグリタゾン(アクトス®)】
チアゾリジン系と言われる薬剤である。以下に作用について箇条書きする。

・インスリンによる骨格筋へのブドウ糖の取り込み促進
・肝臓でのブドウ産生抑制を抑制。
・脂肪細胞に作用し、糖や脂質の代謝を改善する。
大きな脂肪細胞を小さくしたり、減らして・・・・
インスリン抵抗性の原因である悪玉アディポカインの分泌を抑制することも報告されている。

1日1回の服用で良い。朝食後もしくは朝食前

【メトホルミン(メトグルコ®)】
ビグアナイド系という言われる薬剤である。以下に作用について箇条書きする。

・肝臓でのグルコースの合成(糖新生)の抑制
・小腸からの糖の吸収の抑制
・インスリンの感受性を高める(抵抗性を改善する)ことで
筋肉・脂肪細胞での糖の取り込み促進する
また、取り込まれた糖の分解促進し、グリコーゲンの合成促進など細胞内でのグルコースの利用を増やす。
・GLP-1を上昇させる

1日2から3回服用する。

※ピオグリタゾンもメトホルミンもインスリンそのものの分泌作用はない

【糖尿病合併症に対して】
メトホルミンは、糖尿病合併症への効果が示されているが
ピオグリタゾンは、効果が示された報告は弱い(まだない)

標的臓器について

【ピオグリタゾン】
骨格筋、肝臓、脂肪組織など様々

【メトホルミン】
骨格筋、肝臓、脂肪組織、小腸など様々

※どちらも多臓器に作用するのが特徴でもある

体重への影響

【ピオグリタゾン】
浮腫や肥満を助長する可能性があるため、体重は増加しやすい
食欲が増える可能性もある。

【メトホルミン】
体重に影響が少ない。むしろ減少するという報告がある。

禁忌の違い

添付文書より一部改変して載せる。

【ピオグリタゾン】

1.心不全の患者及び心不全の既往歴のある患者
2.重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の
患者
3.重篤な肝機能障害のある患者
4.重篤な腎機能障害のある患者
5.重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者
6. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
7. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性

【メトホルミン】

1.次に示す患者【乳酸アシドーシスが起こしやす)
・乳酸アシドーシスの既往のある患者
・ 重度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)のある患者又は透析患者(腹膜透析を含む)
・重度の肝機能障害のある患者
・ 心血管系、肺機能に高度の障害(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等)のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある患者
・ 脱水症の患者又は脱水状態が懸念される患者(下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者、経口摂取が困難な患者等)
・過度のアルコール摂取者

2.重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者
3.重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者
4.栄養不良状態、飢餓状態、衰弱状態、脳下垂体機能不全又は副腎機能不全の患者
5.妊婦又は妊娠している可能性のある女性
本剤の成分又はビグアナイド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者

※メトホルミンには警告がある

「・重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがあり、死亡に至った例も報告されている。乳酸アシドーシスを起こしやすい患者には投与しないこと。

・腎機能障害又は肝機能障害のある患者、高齢者に投与する場合には、定期的に腎機能や肝機能を確認するなど慎重に投与すること。特に75歳以上の高齢者では、本剤投与の適否を慎重に判断すること」

※ただし、乳酸アシドーシス自体は非常にまれな副作用ではある

その他の違い

【ピオグリタゾン】
浮腫や心不全症状に注意する必要がある。体重変動、息切れ、動悸などに注意する。

【メトホルミン】
服用初期に多い消化器症状(腹痛、悪心、下痢など)に注意する。
頻度は少ないが、乳酸アシドーシスが起こるのはこっちの方。

参考資料
Effect of intensive blood-glucose control with metformin on complications in overweight patients with type 2 diabetes (UKPDS34) . UK prospective diabetes study(UKPDS) Group. Lancet 1998;352 (9131) : 854-865.

Dormandy JA et al.: Secondary prevention of macrovascular events in patients with type-2 diabetes in the PROactive study (PROspective pioglitazone Clinival Trail in ncroVascular Events): a radomized controlled trial . Lancet, 366 1279-1289,2005.

Mazzone intima-media thickness in type 2 diabetes: a randomized trial. JAMA, 296: 2572-2581,2006.

メトグルコ®添付文書、インタビューフォーム
アクトス®添付文書、インタビューフォーム