ダビガトラン (プラザキサ®)を使用するメリット・デメリットについて考える。
薬局業務上、他のDOACよりどうしてもメリットが少ないように思うが、
やはり使われるケースはあるので簡単にまとめる。
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ダビガトラン (プラザキサ®)を使用するメリット
ダビガトランは、トロンビンの活性部位(第IIa因子)で作用する。
トロンビンの働きを阻害することで血液凝固を阻害、フィブリンの産生を抑えて抗凝固作用を示す。
虚血性脳出血の場合
ダビガトラン(プラザキサ®)は、ワーファリン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンを服用した場合での虚血性脳卒中の患者に対して使いやすい。
ダビガトラン150mgは、他剤に比べて虚血性脳卒中が低リスクである。
脳卒中の再発を繰り返す場合
ワーファリンでPT-INR等、良好な管理をしているにも関わらず・・
脳卒中の再発を繰り返す場合、ダビガトラン150mgが使いやすい。
※虚血性、出血性脳卒中の両方に有益性が認められている。
出血リスクの高い人の場合
具体的には、HAS-BLEDスコア3点以上の出血リスクが高い人には、
ダビガトラン110mgが使いやすい。頭蓋内出血の出現が比較的少ない。
他にもアピキサバン(エリキュース®)、エドキサバン(リクシアナ®)もOK。
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消化管出血の既往がある人
消化管出血リスクを増加させない薬剤としてダビガトラン110mgが分かっている。他にもアピキサバン(エリキュース®)も良い。
拮抗薬がある
ダビガトランには、拮抗薬・中和薬としてイダルシズマブ(プリズバインド®静注液)が発売されている。
今現在(2020年)、他のDOACに拮抗薬はない。
カテーテルアブレーションなどの周術期に使いやすい。
ダビガトラン (プラザキサ®)を使用するデメリット
一包化出来ない
最大のデメリットとして、一包化出来ないことがある。必ずPTPから服用直前に出す必要がある。
(私自身も他の薬局で一包化されているケースを見たことがあるが本当に止めて欲しい)
また、1日2回の服用が必要なためコンプライアンス、アドヒアランス共に悪い。
特に、高齢者の場合・・・
非常に継続的な服用が困難な薬剤である。
残薬などをチェックすると本当に飲めていない・・・
ディスペプシアの症状がある人
ディスペプシアや上部消化管の症状がある人には使いにくい。
ダビガトランを服用した人の10%程度にディスペプシアの症状が出る。
消化管出血を起こしやすい人
ダビガトラン150mgはワーファリンよりも消化管出血を起こしやすい。
110mgとの違いに注意すること。
腎機能低下者
ダビガトランは、他のDOACより腎機能低下の影響があることが分かっている。
理由は腎排泄率が80%程度ある。
※同効薬の腎排泄
リバーロキサバン:36%
エドキサバン:35%
アピキサバン:25%
参考資料
プラザキサ®、添付文書、インタビューフォーム
J.I.Weitz et al;Thromb Haemost 2016 115 2 : 257-270
Lip GY et al; J Intern Med Volume 278, Issue 1 , July 2015, 1-18