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頻脈治療について~レートコントロールとリズムコントロールの目的・違い~

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心房細動では頻脈をしばしば起こす。それが原因で心機能が低下することもあるので注意が必要である。
「動悸」、「労作時息切れ」、「血圧低下」、「失神」などの症状が出る。
心房細動に対する治療には、レートコントロール(心拍数調節)とリズムコントロール(洞調律維持)の2つがある。この2つについて簡単に整理する。

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①頻脈治療

頻脈治療の目的

目的は「循環維持」である。頻脈だと拡張時間が短く心臓に十分な血液が溜まらない循環不全になってしまう。頻脈を治療して心臓に十分な血液を溜めて体にしっかり血液を送る必要がある。

※120bpm以上の頻脈が持続すると心拍出量が低下するという報告がある

心臓の拍出のポイント

心臓の拍出には「心室」が大事である。
一度は教科書で見たことがあるかもしれない・・・
「房室結節」が重要である。
心房細動の「細動」がすべて心室に伝わらないのは、房室結節のおかげなのである。関所的な役割を担っている。
つまり、心房の動きがどうあれ、心室さえ拍出量が維持されていれば血圧は維持できるのである。

※参考として、心房細動のレートは700くらいで、仮にすべて心室に伝わると死んでしまう。心房細動があっても心室がちゃんと拡張できるのは、房室結節のおかげである。

房室結節(細かい話)

房室結節の立ち上がりは鈍いと言われている。
その理由として、ナトリウムチャネルが存在しないのだ。
レートコントロール薬で鈍い房室結節に作用して・・
さらに、鈍くして・・・
心室の拡張時間を長くすることが出来るのだ。

※心室にたっぷり血液を溜めるイメージ
※例えば、心室筋細胞であればナトリウムイオンの流入で活動電位が発生するので立ち上がりは速い。

②レートコントロールとリズムコントロールの目的・違い

レートコントロール(心拍数調節)

レートコントロールとは心房細動調律のままで心拍数をコントロールすることで、心拍数が速くなりすぎないようにする治療である。
心室に伝わる電気信号を減らして、心拍数を抑えることで症状を軽くすることが出来る。「心房性の不整な心電図上の波形は残っても、心室の収縮回数を減らす」のが特徴である。
心室の収縮回数が減ることで「動悸」の症状などが抑えられる。

※上でも述べたが
「レートコントロール薬で鈍い房室結節に作用して・・さらに、鈍くして・・・
心室の拡張時間を長くすることで血液をたっぷり心室に溜めることが出来る。」

【治療薬】
β遮断薬
Ca拮抗薬
ジキタリス製剤

リズムコントロール(洞調律維持)

リズムコントロールとは、薬や何かしらの方法で心房細動を止めて(抑制して)
リズムをコントロールする治療である。
心房筋に作用して異常な興奮を抑え、拍動を正常にする目的がある。
心電図上の不整脈の波形を改善する

※リズムコントロールを行う必要がある状況は、心房細動の発症自体が心不全の発症因子の場合である。
リズムコントロールが必須でなければ、まずはレートコントロールを行う。

【治療薬・処置】
抗不整脈薬
カテーテルアブレーション
電気ショック

2つを比較した臨床試験

AFFIRM(Atrial Fibrillation Follow-up Investigation of Rhythm Management)試験とRACE(rate control versus electrical cardioversion for persistent atrial fibrillation)試験が有名である。

結果は、リズムコントロールとレートコントロールで総死亡や心血管イベントの発生に有意差はなかった。
つまり、副作用が多い抗不整脈薬を用いて洞調律維持を目指すよりも,むしろ心拍数調節と抗凝固薬療法で経過を観察しても良いのでは?ということが分かっている。

※この2つの試験において、レートコントロールをやりすぎると有害事象が多い傾向が示唆されている。個々人でも違うが心房細動患者のすべてが80bpm未満を目指す必要はないという事を示唆している。

参考資料
Wyse DG, et al. N Engl J Med 2002;347:1825-33

Rawles JM. what is meant by a controlled ventricular rate in atrial fibrillation? Br Heart J. 1990;63:157-61.

Van Gelder IC, Hagens VE , Bosker HA, et al. A comparison of rate control and rhythm control in patients with recurrent persistent atrial fibrillation. N Engl J Med 2002;347:1834-40