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整形外科・骨

メトトレキサートと葉酸 の併用について

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メトトレキサートと葉酸 の併用について簡単にまとめる。
メトトレキサートを最後に服用した翌日あるいは翌々日に葉酸製剤を服用することが多い。有名であるが併用する意義などをもう一度再確認しよう。

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①メトトレキサートと葉酸の併用

メトトレキサートは、葉酸代謝拮抗薬として開発された。関節リウマチなどに使用されるが肝障害などが問題となることがある。
この副作用を防ぐため、葉酸類似構造を持つことを利用して、「葉酸」を併用するケースがある。
ただし、葉酸を併用してしまうと、副作用に対しては良いが、メトトレキサートの効果を減弱する可能性もあるので注意が必要である。

メトトレキサートの副作用

葉酸を阻害することによる副作用に注意が必要である

【症状】

・消化器症状(口内炎・下痢・食欲不振・吐き気)
・血球減少(白血球、血小板など)
・脱毛
・肝機能の異常

【副作用の発現が多い人】

・高齢者
・腎機能低下者
・複数のNSAIDsを服用している場合

※自覚症状が伴わないAST、ALT、ALPの高値、血球減少、MCV高値を伴う貧血
口内炎が派生した場合は、葉酸を併用する必要がある。

※併用しても副作用が減弱しない場合は、
メトトレキサートを減量することもある

※白血球減少など重篤な副作用が起きた場合は、ホリナートカルシウム(ロイコボリン®)を用いる。

葉酸の投与量

葉酸の投与量は、一般的に5mg/週である。
参考として、葉酸とメトトレキサートの比(葉酸/MTXの比)が1.0以上では、効果の減弱が見られる可能性が高い。
ガイドラインでも週に5mgを超える量は必要ないとしている。

※葉酸を微量で併用する場合は、粉砕して用量を調節するケースがある。

②ガイドライン上の記載

「葉酸製剤の併用投与は、用量依存性副作用の予防・治療に有効であり、必要に応じて考慮する。MTX8mg/週以上投与する際や副作用リスクが高い症例では、葉酸併用投与が強く勧められる。葉酸製剤は5mg/週以内を、MTX最終投与後24~48時間後に投与する。葉酸製剤は、通常、フォリアミン®を使用するが、重篤な副作用発現時には、活性型葉酸製剤ロイコボリン®を使用する」

メトトレキサート最終投与後24~48時間後に服用する理由

今後の報告で変わる可能性はあるが、
メトトレキサートの半減期の分布内で葉酸を併用した場合、メトトレキサートの効果が減弱するのは間違いない。
そのため、メトトレキサート最終投与後24~48時間後に服用する。
臨床成績の結果から治療効果に差がない時間が設定されている。

メトトレキサートの半減期は、リウマトレックス®カプセルの添付文書によると
2.3時間から3.2時間程度である。

③服薬指導時の工夫

・検査値による肝機能、血球数のモニタリングと自覚症状(消化器症状)の有無確認

・口内炎や歯茎の調子などを聞き取る。
→「最近歯科受診してないか」など

・併用薬だけでなく健康商品もチェックする
サプリメントの葉酸製剤や総合ビタミン剤に注意する。メトトレキサートの効果が減弱する可能性がある

参考資料
メトトレキサートを服用する患者さんへ
一般社団法人日本リウマチ学会,メトトレキサート診療ガイドライン策定小委員会2013

関節リウマチ治療におけるメトトレキサート(MTX)診療ガイド2011年版
リウマトレックス®カプセル、添付文書、インタビューフォーム