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免疫関連

フォリアミンとロイコボリンの違い について~比較して整理~

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フォリアミンとロイコボリンの違い や比較について整理する。

葉酸についての他の記事は下記を参照
葉酸について~胎児での意義も~ 

メトトレキサートと葉酸の併用について

①フォリアミン

効能・効果

意外にも、メトトレキサートに対する副作用予防などの効能・効果の記載はない。ただし、用途は多く薬剤師としても何のために服用しているか確認すべきところである。

  1. 葉酸欠乏症の予防及び治療
  2. 葉酸の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、妊産婦、授乳婦等)
  3. 吸収不全症候群(スプルー等)
  4. 悪性貧血の補助療法
  5. 下記疾患のうち、葉酸の欠乏又は代謝障害が関与すると推定さ
    れる場合
    ●栄養性貧血 ●妊娠性貧血 ●小児貧血
    ●抗けいれん剤、抗マラリア剤投与に起因する貧血
  6. アルコール中毒及び肝疾患に関連する大赤血球性貧血
  7. 再生不良性貧血
  8. 顆粒球減少症

用法・用量

「葉酸として、通常成人1日5~20mg(錠の場合1~4錠、散の場合0.05~0.2g)、小児1日5~10mg(錠の場合1~2錠、散の場合0.05~0.1g)を 2 ~ 3 回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
一般に消化管に吸収障害のある場合、あるいは症状が重篤な場合は注射を行う方がよい。」

重要な基本的注意

「本剤を悪性貧血の患者に投与すると、血液状態は改善するが、神経症状に効果がないので、悪性貧血の患者に投与する場合はビタミンB12 製剤と併用すること。なお、診断の確立していない悪性貧血の患者の場合、血液状態の改善により悪性貧血を隠蔽し、診断及び治療に影響を与えるので注意すること。」

※悪性貧血の場合は、ビタミンB12(メコバラミン)との併用が必要

②ロイコボリン

ロイコボリン®錠には、メトトレキサートでの毒性軽減として適応がある。

効能・効果(錠5mg、注3mg)

葉酸代謝拮抗剤の毒性軽減

※25mgは適応症が違うので注意する
「結腸・直腸癌に対するテガフール・ウラシルの抗腫瘍効果の増強」

用法・用量(添付文書上)

【メトトレキサート通常療法、CMF療法、メトトレキサート関節リウマチ療法又はM-VAC療法】

メトトレキサート通常療法、CMF療法、メトトレキサート関節リウマチ療法又はM-VAC療法でメトトレキサートによると思われる副作用が発現した場合には、通常、ロイコボリンとして成人1回10mgを6時間間隔で4回経口投与する。
なお、メトトレキサートを過剰投与した場合には、投与したメトトレキサートと同量を投与する。

※メトトレキサートの救済時の用量目安は、下の方の「特徴」を参照のこと

【メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法】

「通常、メトトレキサート投与後24時間目よりロイコボリンとして1回15mgを 6 時間間隔で2~6回(メトトレキサート投与後24、30、36、42、48、54時間目)経口投与する。メトトレキサートによると思われる重篤な副作用があらわれた場合には、用量を増加し、投与期間を延長する。なお、年齢、症状により適宜増減する」

特徴(フォリアミン®との違い)と副作用対策

ロイコボリン®は活性型葉酸であり、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)の作用を必要としないため、メトトレキサートによる副作用の「救済」に使われる。
重篤な副作用が発生した場合、メトトレキサートの中止とロイコボリン®の投与を行う。さらに輸液の投与と尿のアルカリ化が有効である。

【服用方法】
経口か静注かで違う。

・ロイコボリン®10mgを6時間後ごとに経口投与
・ロイコボリン®6mg~12mgを筋注か静注投与

※ロイコボリン®の1日投与量は、メトトレキサートの最低3倍は必要
例えば、メトトレキサートが8mg/週であれば、ロイコボリン®24mg/日

【リウマトレックス®カプセルに記載された対応】

「過量投与したときは、すみやかに本剤の拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与するとともに、本剤の排泄を促進するために水分補給と尿のアルカリ化を行うこと。本剤とホリナートカルシウムの投与間隔が長いほど、ホリナートカルシウムの効果が低下することがある。」

作用機序

ロイコボリン®は、メトトレキサートの作用を無視して核酸合成を再開させるイメージである。

詳細は・・・

メトトレキサートは、2 水素葉酸を 4 水素葉酸に変換させる酵素である 2 水素葉酸還元酵素(dihydrofolate reductase:DHFR)の働きを阻止する

核酸合成を停止させる

一方、ロイコボリン®はメトトレキサートが作用する酵素に関与せず、
細胞の葉酸プールに取り込まれる

活性型(還元型)葉酸(5,10-methylene tetrahydrofolate 等)となり、
細胞の核酸合成を再開させる。

参考資料
メトトレキサートを服用する患者さんへ
一般社団法人日本リウマチ学会,メトトレキサート診療ガイドライン策定小委員会2013

関節リウマチ治療におけるメトトレキサート(MTX)診療ガイド2011年版
リウマトレックス®カプセル、添付文書、インタビューフォーム
フォリアミン錠、散、添付文書
ロイコボリン錠、添付文書