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利尿薬 循環器

カルペリチド の特徴について~ハンプの理解を深めよう~

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カルペリチド の特徴について簡単にまとめる。商品名としてはハンプである。

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ネプリライシンについてはこちらを参照

カルペリチド の特徴

日本でのみ承認されている
マルチな利尿薬である。心房性Na利尿ペプチドでだるANPを元にして開発された薬剤。

効能・効果

「急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)」

※急性心不全の肺うっ血解消を目的として使用される
その結果、肺うっ血による呼吸困難を改善する

作用機序

静注薬であり、静注後A型Na利尿ペプチド受容体に結合し、
cGMPをセカンドメッセンジャーとして肺血管、末梢血管、腎臓などに作用
する。その結果、肺血管拡張作用、末梢血管拡張作用を示す。さらに
Na利尿作用やレニン‐アンジオテンシンーアルドステロン系の抑制作用もある。

腎臓での作用に着目(利尿作用)

・糸球体濾過値(GFR)の増加
・ヘンレループ上行脚での水・Na+の受動的再吸収の抑制
・集合管での水・Na+の再吸収の抑制
・アルドステロン、バソプレシンに拮抗することでの利尿作用

※上記のようにマルチな利尿作用を持つ

※トルバプタンとの大きな違い
トルバプタンはV2受容体選択的なので血管拡張による低血圧は起こさない。
利尿作用が過剰になれば低血圧は起こす

※作用点が多い点でもループ利尿薬であるフロセミドなどとも違う

特徴

・心拍出量を増大させる
・心拍数を上昇させないため、心筋酸素消費量を増加させない
・もっとも多い副作用は、血圧低下
・禁忌患者→重篤な低血圧、心原生ショック、急性右室梗塞患者、脱水症
・心筋梗塞患者で心臓死や心不全のイベントを抑制する

参考:承認後の副作用のデータ

「承認後の使用成績調査で総症例 4,105 例中報告された副作用は673例(16.4%)で、血圧低下9.2%(377件)、BUN上昇1.9%(78 件)、クレアチニン上昇1.7%(68 件)、血小板減少1.4%(59 件)、ALT(GPT)上昇1.0%(43 件)、AST(GOT)上昇1.0%(41件)等であった。重大な副作用として、血圧低下(8.6%)、低血圧性ショック(0.2%)、徐脈(0.2%)、過剰利尿(脱水)
により、電解質異常(1.8%)、心室性不整脈(心室頻拍(0.2%)、心室細動(0.1%)等)、赤血球増加(0.1%)、血小板増加(0.1%)が、また重篤な血小板減少(0.1%)、頻度不明であるが、重篤な肝機能障害が認められている」

※頻度としては、やはり血圧低下が多い

ガイドライン上の位置づけ

「非代償性心不全患者の肺うっ血に対する投与」→クラスⅡa
「難治性心不全患者での強心薬との併用投与」→クラスⅡa
エビデンスレベルB

クラスⅡa:エビデンス・見解から有用・有効である可能性が高い.

参考資料
急性・慢性心不全診療ガイドライン2017年改訂版
Lancet 2007; 370:1483-1493
ハンプ®添付文書、インタビューフォーム