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眼科・点眼薬

タダラフィル (ザルティア)と目の副作用~非動脈炎性前部虚血性視神経症~

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タダラフィル (ザルティア)と目の副作用

タダラフィル による視力障害は、飲み始めに注意する必要がある。服薬指導でも役に立つので簡単にまとめる

タダラフィル (ザルティア)と目の副作用

タダラフィル の先発品であるザルティア®の医薬品リスク管理計画にも目の副作用について設定されている。
安全性の検討事項の重要な潜在的リスクとして「非動脈炎性前部虚血性視神経症」がある。このことについて簡単に整理する。

非動脈炎性前部虚血性視神経症とは?

非動脈炎性前部虚血性視神経症は、
眼底にある神経に栄養を送る動脈が狭くなることで生じる視機能障害である。
片目のこともあれば、両目に起こることもある。
また、視界の真ん中や上下どちらかが見えなくなったり様々である。

【危険因子】
年齢(50 歳以上)、糖尿病、高血圧、冠動脈障害、高脂血症、喫煙などがある。

→ちょうどタダラフィルを飲み始めそうな人が入っているので薬剤との因果証明が難しい

タダラフィル (ザルティア)での注意事項

添付文書やインタビューフォームにポイントが記載されているので引用する

【重要な基本的注意の記載】
「本剤投与後に急激な視力低下又は急激な視力喪失があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、速やかに眼科専門医の診察を受けるよう、患者に指導すること。」

「臨床試験において、めまいや視覚障害が認められているので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。」

※視力低下が生じた時は、直ちに中止する必要があり、何かの作業などは注意すること

【インタビューフォームでの注意喚起】
「本剤の勃起不全、肺動脈性肺高血圧症及び前立腺肥大症に伴う排尿障害の申請時までのいずれの臨床試験においても、非動脈炎性前部虚血性視神経症(nonarteritic anterior ischemic optic neuropathy:NAION)、あるいは NAION と疑われる事象は認められていない。しかし、外国の自発報告で、まれに視力低下や視力喪失の原因となりうるNAION の発現が報告されている。PDE5 阻害剤と NAION との因果関係は明らかではないが、急激な視力低下又は急激な視力喪失があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、速やかに眼科専門医の診察を受けるよう、患者に指導すること」

※臨床試験においては事象は認められていない。ただし、米国などにおいて報告がある

【その他の注意(臨床使用に基づく情報)】
「薬剤との因果関係は明らかではないが、外国において男性勃起不全治療剤として使用されたタダラフィルを含む PDE5 阻害剤投与後に、まれに視力低下や視力喪失の原因となりうる非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)の発現が報告されている。これらの患者の多くは、NAION の危険因子[年齢(50 歳以上)、糖尿病、高血圧、冠動脈障害、高脂血症、喫煙等]を有していた。外国において、NAION を発現した 45 歳以上の男性を対象として実施された自己対照研究では、PDE5 阻害剤の投与から消失半減期(T1/2)の 5 倍の期間内(タダラフィルの場合約 4 日以内に相当)は、NAION 発現リスクが約 2 倍になることが報告されている」

※飲み始めの方がリスクが高いため、最初の服薬指導で伝える必要がある

※米国食品医薬品局(FDA)においても注意喚起されている。PDE5 阻害剤服用者で「突発的な視力低下」あるいは「視力喪失」を認めた場合は、服用を中止し、直ちに医師等に相談するように書かれている。

参考資料
ザルティア®添付文書、インタビューフォーム