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産科・婦人科

銅付加子宮内避妊具 (Cu-IUD)について~どんな時使うの?適さない人は?~

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銅付加子宮内避妊具 (Cu-IUD)について

銅付加子宮内避妊具 は、緊急避妊法としても使われるので簡単にまとめる。

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銅付加子宮内避妊具 (Cu-IUD)

IUD(子宮内避妊用具)→Intrauterine device
避妊目的で子宮内に装着する小さめの器具を指す。銅が付加されたものは避妊効果が高いことが知られている

銅付加子宮内避妊具 はどんな時使うの?

「避妊せずに性交が行われた」あるいは、「避妊したけど避妊手段が十分でなかった性交があった」の後の緊急避妊法として用いられる。
上記の避妊が十分でない性交ことをUnprostected Sexual Intercourse:USPIとも呼ぶ。
このUSPIの後、120時間(5日)以内に子宮内に挿入することで妊娠を防ぐものである。

※ただし、排卵後5日間を超えない限り、性交後120時間を超えて装着しても良い
※緊急避妊ピル(レボノルゲストレル)のUSPI後72時間(3日)以内と比べると時間的な余裕がある。2日の差は大きい。

USPIとは?

・避妊を全くしない性交
・経口避妊薬を飲んでいない・飲み忘れがある
・スキンの破損など
・膣外射精
・性的な暴行
・性交後8時間以内の避妊用ペリッサーの除去

作用機序

銅付加子宮内避妊具(Cu-IUD)の作用としては、
精子の運動能力の抑制による「受精阻害」と子宮内膜の異物反応(銅イオン)による「着床阻害」がある。
また、精子の支給や卵管内への侵入を妨げる

※レボノルゲストレルで嘔吐が続いてしまう場合は、Cu-IUDの使用を考慮する
こちらは、120時間以内なので時間的な余裕がある。出産経験がないと厳しいことも・・・

副作用

「月経異常」、「過多月経」、「月経中間期出血」、「腹痛」、「疼痛」、「月経時期以外の出血」、「おりもの」など

※生理の量が増える傾向にある

その他の特徴

・確率としては、妊娠の可能性を99%以上減らすことが出来る(100%ではない)
※正しく使用した場合の1年間に妊娠する確率は、0.6~0.8%程度である

・性感染症(クラミジア、淋病)を悪化させることがある。抗菌薬の予防的投与も考慮すべき
→緊急避妊の場合、性感染症を治療している時間がない!自費にはなるが、アジスロマイシン(ジスロマック®)が使われたりする。

・経産婦では入れやすいが、妊娠経験がない人は挿入が困難。痛みが生じやすい
・次の月経があれば抜ける。継続的な避妊をしたいかどうかで判断する。
→継続して避妊する場合には適している。数年にわたり可能である。(定期検査は必要)

・コンドームなどが男性主体の避妊法であるならば、IUDは、女性主体の避妊法である。

・装着したままの授乳は問題ない
・外すことで再び妊娠可能となる

銅付加子宮内避妊具 が適さない人

銅付加子宮内避妊具が適さない人もいるので整理する。

・銅アレルギーのある人
・ウイルソン病の人(銅代謝異常)
・性器に悪性腫瘍がある人
・子宮外妊娠の経験者
・IUD装着時に失神、徐脈などを起こしたことがある人
他にも適さない人はいるので医師としっかり話し合うことが大切である。

参考資料
Contraceptive Technology,20 ed., Ardent Media,2011 Table3-2