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貧血

鉄剤とビタミンC ~吸収を改善するため併用はした方がよいの?~

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鉄剤とビタミンC

鉄剤とビタミンC 
以前の記事でも簡単にまとめたが、鉄剤とビタミンC(アスコルビン酸)だけをピックアップして簡単にまとめる。
鉄剤の吸収はビタミンCにより改善されるが、理由などに触れる

関連記事は下記を参照のこと
鉄剤と食品の相互作用について~ヘム鉄と非ヘム鉄の違いも~

鉄剤とビタミンC

鉄剤とビタミンを一緒に服用した場合のメリットは何があるのだろうか?
そもそも併用した方がいいのだろうか?

ビタミンCは、アスコルビン酸であり抗酸化物質である。
鉄剤を還元型にすることで体内への吸収を高めることが出来る。
ちなみに鉄分は体の十二指腸から吸収される。

鉄は2価(Fe2+)の状態で吸収されやすく、腸液の環境下で十二指腸は、弱アルカリ性のため2価の鉄になりやすい。
(小腸に存在する体内に鉄分を輸送するトランスポーターはFe2+の形でしか吸収できない。)

ビタミンCの抗酸化作用によりFe3+がFe2+になりやすい(2価の状態を保つ)ため、併用することで吸収を高めることができる。
ちなみに機能性表示食品などのサプリメントなどの鉄には、少しビタミンCが添加されていることがある。
理由は、「吸収をよくするため」である。

クエン酸第一鉄(フェロミア)とビタミンC

ただし、すべての鉄剤でビタミンCを併用した方がいいわけではない。
例えば、食べ物から鉄を補給したいということであれば、ビタミンCを一緒に摂ると当然良いと考えられる。

鉄剤だからビタミンCの併用が必ずいるというわけではない。
今回は鉄剤であるクエン酸第一鉄(フェロミア®)の例を簡単に紹介する。

2価の鉄イオンは、胃を刺激すると言われており、胃腸障害を感じる人がいる。
それを防ぐために、クエン酸第一鉄では工夫されている。
クエン酸第一鉄では、非イオン型鉄剤であり、胃の粘膜を刺激しにくい。さらに、
クエン酸第一鉄は名前の通り、有機酸である「クエン酸」を含んでいる。クエン酸自体が鉄吸収を促進する。

エーザイ株式会社への問い合わせの返答下記の通り
「フェロミアは、鉄とクエン酸との化合物であるため、特にビタミンCと併用する必要はなく、フェロミアを単独およびビタミンCと併用した比較試験では貧血改善効果に影響がない報告がされている。」

※つまり、ビタミンCは水溶性ビタミンであるため、過剰に摂取して体に害はないが、クエン酸第一鉄とビタミンCを併用する必要はないということである。

【補足】
クエン酸だけでなく、リンゴ酸も同様の作用があると報告されている。

参考資料
エーザイ株式会社 問い合わせ
鉄欠乏性貧血治療剤フェロミア処方に関するQ&A
内田立身:鉄および経口鉄剤の吸収、日本醫事新報、3640、14(1994)
坂口ー夫ら:第8回日本病院薬学会(1998)