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呼吸器疾患

フェノテロール (べロテック)の特徴について~使いすぎによる心臓への負担に注意~

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フェノテロール (べロテック)の特徴について簡単にまとめる。
色々使うにあたって条件がある薬剤である。特に、「他のβ2刺激薬吸入剤が無効な場合に限ること」と限定されており、歴史的にも使い方を巡って話し合われた吸入剤である。
一時は販売中止になるのかと思っていたが2021年現在はまだ販売されている。 

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フェノテロール(べロテック)の特徴について

薬理作用・作用機序

β2受容体刺激作用による気管支拡張作用がある。効果は短時間で発作時に用いる。
対象の疾患は、「気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、塵肺症」の呼吸困難時である。
べロテックは、β1受容体にも、メプチンやサルタノールに比べ作用してしまうため、心臓への負担がかかることがある。副作用として、動悸や心拍数の増加がある。

警告

「(1)本剤の使用は、患者が適正な使用方法について十分に理解しており、過量投与になるおそれのないことが確認されている場合に限ること。「重要な基本的注意」の項参照
(2)本剤の投与は、他のβ2刺激薬吸入剤が無効な場合に限ること。
(3)小児に対しては、他のβ2刺激薬吸入剤が無効な場合で、入院中など、医師の厳重な管理・監督下で本剤を投与する場合を除き、投与しないこと。」

※かなり使い方に注意が必要なことが書かれている。さらに「他のβ2刺激薬吸入剤が無効な場合に限ること」そんなケース多くあるのだろうか・・・

警告の理由

「日本小児アレルギー学会喘息死委員会が行った調査では,1990 年から 1996 年までに登録された喘息死亡例 123 例中に薬物過剰投与が指摘されたもの 18 例,うちβ2 刺激薬定量噴霧式吸入剤は 11 例で,その中で本剤が 7 例であったことが報告されている。本剤は他のβ2刺激薬吸入剤に比べて強い気管支拡張作用があることから症状に合わせた段階的な治療を行うため,本剤の使用を他剤無効な場合に限定した。また,小児は吸入回数に対する自己管理が期待しにくく過剰使用に陥り易いと考えられるので,他のβ2刺激薬吸入剤が無効な場合で,入院中など,医師の厳重な管理・監督下でのみの使用に限定した」

※小児は、正しく使えないケースが考えられるため監督できる医師が必要である。
また、短時間型のβ2刺激薬は効果の実感があるため、ついつい使いすぎる人は多い。

重要な基本的注意の記載(過度の使用の場合)

「(2)過度に使用を続けた場合、不整脈、場合により心停止を起こすおそれがあり、特に発作発現時の吸入投与の場合には、使用が過度になりやすいので十分に注意すること。
(3)投与にあたっては、過度の使用を防止するために、用法用量を正しく指導し、経過観察を十分に行うこと。用法用量どおり正しく使用しても効果が認められない場合には、気道炎症の増悪が疑われ、本剤の効果が認められないまま過度の使用になる可能性があるので、本剤の投与を中止し、他の適切な治療法に切り替えること」

※多く使った場合、心臓への負担が多くなり、死亡例もあるため・・・正しく使えない人に出してはならない

用法・用量

「通常1回2吸入(フェノテロール臭化水素酸塩として0.2mg)する。成人には2~5分間たって効果が不十分な場合はさらに1~2吸入する」

【用法・用量の使用上の注意】
「患者に対し,本剤の過度の使用により,不整脈,心停止等の重篤な副作用が発現する危険性があることを理解させ,次の事項及びその他必要と考えられる注意を与えること。1 回 2 吸入を原則とするが,1 回 1 吸入からはじめ,効果を確認しながら使用すること。 なお,吸入後 2~5 分を待っても十分な効果がみられない場合には,2吸入を限度として追加吸入できるが,それ以上の追加吸入を行うときは,少なくとも 6 時間の間隔をおき,1 日 4 回までとすること」

※追加吸入は一度だけ。そのあとは6時間空ける必要がある。また、薬剤師業務として過度に使った場合のリスクは説明しておかないといけない。結構難しい・・・

その他の特徴

・気管支拡張作用:イソプロテレノール,オルシプレナリン,サルブタモール,テルブタリンより強力である

・作用の持続性:イソプロテレノール,オルシプレナリン,サルブタモールより優れる

・β2受容体への作用:イソプロテレノール,オルシプレナリン,サルブタモールより優れる
→気管支を拡張する切れ味は良い。そのため、ついつい使いすぎてしまう人がいるのだ

参考資料
べロテック、添付文書、インタビューフォーム