" />

その他

インスリン自己免疫症候群 とクロピトグレルについて

スポンサーリンク

インスリン自己免疫症候群 とクロピトグレルについて簡単に整理する。個人的には、聞きなれない症候群だったので載せる。
2020年1月に添付文書の改訂があり、クロピトグレル(プラビックス)に記載された。

※インスリン自己免疫症候群(Insulin Autoimmune Syndrome:IAS)

インスリン自己免疫症候群 とクロピトグレル

クロピトグレルを内服中の患者は、重度の低血糖を引き起こす可能性があることを知っておく

インスリン自己免疫症候群

インスリン自己免疫症候群(IAS)は、自発性低血糖の原因の1つである。自発性低血糖とは、糖尿病治療薬の服用やインスリン治療とは関係がない低血糖のことである。自発性低血糖の原因としては、多い順にインスリノーマ、インスリン自己免疫症候群(IAS)、以下その他と報告されている。 インスリン自己免疫症候群(IAS)は、高力価のインスリン自己抗体が血中に存在し低血糖を引き起こす。

【なぜ低血糖が?】
インスリン自体は、血中に存在しておりインスリン自己抗体と結合している。
自己抗体が結合することで、インスリンが作用を示すことが出来ず追加でインスリンが生産される。
それにも限界があり、インスリン自己抗体とインスリンの結合が最大になると解離し始めるため、インスリンが多い状態となり低血糖を引き起こす。
特定のHLAとの相関が強い。

【発症年齢や人種】
・日本や極東アジアに多い
・発症年齢は、60代がピーク
・男女差はない

【主症状】
・食前や早朝の低血糖
・食後の高血糖

【原因薬剤の例】
・チアマゾール
・ブシラミン
・チオプロニン
・ロキソプロフェン
・クロピトグレル
などが報告されている。

クロピトグレル

2020年1月に使用上の注意改訂のお知らせが出されている。「その他の注意の中の臨床使用に基づく情報」を引用すると・・・

「本剤投与中に、重度の低血糖を引き起こす可能性があるインスリン自己免疫症候群が発症したとの報告があり、HLA 型を解析した症例の中には、インスリン自己免疫症候群の発現と強く相関するとの報告がある HLA-DR4(DRB1*0406) を有する症例があった。なお、日本人は HLA-DR4(DRB1*0406)を保有する頻度が高いとの報告がある。」

相関のあるHLAに関して日本人は保有している頻度が高い。

薬剤師としての対応(私見)

クロピトグレルは、薬局で特定薬剤管理指導加算を算定する機会があるかと思われる。
私自身、様々なチェックや指導をしているが長期間の服薬になってくると指導内容が似たものになることがある。
そういった時に・・・頻度は高くないが「低血糖」が起こりうるという話をするかは別として、
「低血糖症状」が出ていないか?など副作用モニタリングをしてみても面白いかもしれない。
服薬指導の幅を拡げるために頭の隅に入れておいてはどうだろうか。

【低血糖症状の例】
「ふらつき」、「めまい」、「空腹感」、「無気力」、「脱力感」、「だるさ」など

参考資料
プラビックス、添付文書、インタビューフォーム
使用上の注意改訂のお知らせ 2020.1 サノフィ株式会社