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呼吸器疾患

アデムパス (リオシグアト)の特徴について~今後追記予定~

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アデムパス (リオシグアト)の特徴について簡単に整理する。
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に使われる薬である。基本的には生涯飲む薬となっている。
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH) は、未治療であれば平均余命6.8年の非常に予後不良の疾患である。ただし、今では飲み薬や手術などもあるため、5年生存率が90%を超えており、いかにQOLを維持、改善し、息苦しさを減らせるかという段階にきている。

※2021年で 慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH) は 、全国で4000人程度しかいない。
※CTEPH(シーテフ):chronic thromboembolic pulmonary hypertension

アデムパス (リオシグアト)の特徴について

飲み始める前のチェック、服用中の副作用のフォロー、アドヒアランス確認が重要である。

効能・効果

・外科的治療不適応又は外科的治療後に残存・再発した慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)
・肺動脈性肺高血圧症(PAH)

※CTEPHというのは、肺の血圧が高くなり、心臓に負担がかかる肺高血圧症の1つである。肺の血管の内側に血栓が詰まり、
血液の流れが悪くなることで起こる病気である

用法・用量

【用量調節期】
「通常、 成人にはリオシグアトとして1回1.0mg1日3回経口投与から開始する。2週間継続して収縮期血圧が95mmHg以上で低血圧症状を示さない場合には、2週間間隔で1回用量を0.5mgずつ増量するが、最高用量は1回2.5mg1日3回までとする。 収縮期血圧が95mmHg未満でも低血圧症状を示さない場合は、現行の用量を維持するが、 低血圧症状を示す場合には、1回用量を0.5mgずつ減量する。」

【用量維持期】
「用量調節期に決定した用量を維持する。用量維持期においても、最高用量は1回2.5mg1日3回までとし、低血圧症状を示すなど、忍容性がない場合には、1回用量を0.5mgずつ減量する。」

※のみ忘れた場合の対応
投与間隔は約6~8時間間隔とすることが望ましい。ただし、1回の服用を忘れた場合には、次回の服用時刻に1回用量を服用させる。

薬理作用・作用機序

肺高血圧症では、血管内皮細胞が障害されており、NOの産生が低下している。
NO自体が可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)を介してcGMPを産生することで「肺血管拡張」や「リモデリング抑制」に関与している。

リオシグアトは、NOを介さずに直接sGCを刺激することが出来る。結果として、肺血管(肺動脈)を拡張することが出来る。
さらに、NOがある状態では、NOに対するsGCの感受性を高める効果もある。

・用量依存的に効果を発揮する
・NT-proBNP下げる効果がある
・ベルイシグアト(ベリキューボ®)とは、力価が3,4倍違う。心不全に用いる場合は、力価が低くてよい
※補足だが、PDE5阻害薬は、NO依存的にcGMPを増やす薬剤である。

副作用

「頭痛」、「めまい」、「消化不良」、「低血圧」、「吐き気」、「下痢」、「貧血」、「ほてり」などが起こりやすい副作用である。

・血管拡張による「頭痛」などの副作用は慣れてくる
・リオシグアトは、酸性の環境下で吸収されやすいため、制酸剤などと一緒に服用するとバイオアベイラビリティが低下する
→併用する際は、1時間以上空ける必要がある。
・PDE5阻害薬と併用禁忌→低血圧や失神などの頻度が増加する
・硝酸剤及びNO供与剤との併用禁忌→降圧作用が増強する

注意が必要な人(抜粋)

・クレアチニン・クリアランス15 mL/min未満の患者又は透析中の患者には投与しないこと

・Child-Pugh分類Cの患者には投与しないこと

・妊娠又は可能性のある人は飲むことができない。
→また、服用する際は、避妊の必要性を説明する必要がある。

・喫煙者は、禁煙すべきである。下記は、インタビューフォームの記載を引用
「喫煙者では本剤の血漿中濃度が50~60%低下した。喫煙によって、本剤の代謝酵素であるCYP1A1が誘導されるためと考えられる。」

ガイドライン上の位置づけ

【CTEPH の治療に関する推奨とエビデンスレベル】

PEA 不適応または PEA 後に残存・再発した CTEPH に対するリオシグアト
→クラスⅠ、エビデンスレベルB

※CTEPHに対する第一選択薬として使われている

その他の特徴

・90%の人が2.5mg、1日3回の量となる。

・薬価が非常に高く、比較的用量調節も行われる薬剤である。0.5mg規格2錠と1mg規格1錠の薬価がほとんど変わらないので
手術を繰り返している場合や用量が安定しない場合は、メーカーとしても0.5mgで処方するように勧めている。
例えば、1日3mgを毎食後の場合、0.5mg錠を2錠で毎食後に飲むイメージである。

・一包化、粉砕、つぶし、可能
・簡易懸濁法、可能

参考資料
アデムパス、添付文書、インタビューフォーム
バイエル勉強会
肺高血圧症ガイドライン2017年改訂版