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整形外科・骨

メトトレキサートの副作用 について

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メトトレキサートの副作用 について簡単に整理する。関節リウマチの治療の基本となる薬剤であるが、副作用として用量依存性の副作用か非依存性のものがあるので知っておくと良い。

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メトトレキサートと葉酸の併用について

メトトレキサートの副作用

用量依存性か非用量存性かの違いを知っておくと良い。間質性肺炎は非依存性!

用量依存性の副作用

・口内炎
・消化器症状
・血液障害(骨髄障害)
・肝障害(肝酵素上昇)
・感染症
・潜在性のウイルスの活性化

※葉酸を併用することで発生率が低下する
※口内炎が出た場合は、肝機能や血球減少を診るために採血するのも良い

【重要な基本的注意の記載】
「出血性腸炎、消化管潰瘍・出血等の消化管障害があらわれることがあるので、口内炎、激しい腹痛、嘔吐、下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、患者に対し、口内炎があらわれた場合には、直ちに連絡するよう注意を与えること」

「感染症、出血傾向の発現又は増悪に十分注意し、異常が認められたときには投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、患者に対し発熱、倦怠感があらわれた場合には、直ちに連絡するよう注意を与えること。」

非用量依存性の副作用

・間質性肺炎

※葉酸による予防効果はないことが知られている
※メトトレキサート開始1年未満が多いが、長期服用でも注意
※発熱、咳、呼吸困難(息切れ)、SpO2の低下などに注意
※用量に関係ないことから服薬開始時など初期症状などを指導しておく必要がある。「警告」にも記載がある。

【警告の記載】
「本剤の投与に際しては、副作用の発現の可能性について患者に十分理解させ、下記の症状が認められた場合には直ちに連絡するよう注意を与えること。発熱、咳嗽・呼吸困難等の呼吸器症状、口内炎、倦怠感」

【重要な基本的注意の記載】
「本剤投与開始前に胸部X線等の検査で肺疾患の有無を確認し、さらに必要に応じて胸部CT検査等を行い、投与の可否を慎重に判断すること。間質性肺炎、肺線維症等があらわれ、呼吸不全にいたることがあるので、投与開始後は発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状発現に十分注意し、異常が認められた場合には、速やかに胸部X線検査、胸部CT検査、血液ガス検査、血中KL-6測定等を行い、本剤の投与を中止するとともに、ニューモシスティス肺炎との鑑別診断(β-Dグルカンの測定等)を考慮に入れ副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。また、患者に対し、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場合には、直ちに連絡するよう注意を与えること。」

メトトレキサートの副作用のリスク因子

・高齢
・やせ型の低BMI・低体重
・腎機能低下、腎障害
・低アルブミン血症
・胸水、腹水
・肝障害
・血球減少
・慢性的肺疾患
・アルコール常飲
・肝炎ウイルスキャリア
(肝炎ウイルスを再活性化する)
・NSAIDs複数服用している人

※高齢、やせ型のBMI、腎障害、低アルブミン血症、胸水、腹水などは、メトトレキサートの副作用が出やすくなる。
さらに、肝障害や血球減少があれば副作用がひどくなりうる。

メトトレキサートの禁忌項目

上記の副作用のリスク因子を理解するためにメトトレキサートの禁忌項目を見ておくと良い
一部下記に引用する。

「・妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
・骨髄抑制のある患者
・慢性肝疾患のある患者
・腎障害のある患者
・授乳婦
・胸水、腹水等のある患者
・活動性結核の患者」

メトトレキサートの副作用対策

・少量で開始する(2mgから4mg/週)
・葉酸を併用する
・4週毎に臨床検査を行う
・メトトレキサートに起因する副作用があればロイコボリンを投与することもある

【重要な基本的注意の記載】
「骨髄抑制、肝・腎機能障害等の重篤な副作用が起こることがあるので、本剤投与開始前及び投与中、4 週間ごとに臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査、尿検査等)を行うなど、患者の状態を十分観察すること。異常が認められた場合には、投与を中止するとともに適切な処置を行うこと。」

「骨髄抑制、肝機能障害、粘膜・消化管障害等の細胞毒性に起因する副作用が発現した場合には、適切な処置を行いながら、本剤の拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を以下の方法により投与すること。注射剤を投与する場合は通常、ホリナート(ロイコボリン)として成人1回6〜12mgを6時間間隔で4回筋肉内注射する。錠剤を投与する場合は通常、ホリナートとして成人1回10 mgを6時間間隔で4
回経口投与する。また、尿量、排尿回数をチェックし、排尿が少ないと判断したときは、点滴又は経口により水分を補給し排尿を促すこと。」

参考資料
リウマトレックス適正使用情報Vol23
日本リウマチ学会・編:関節リウマチ診療ガイドライン2020
リウマトレックス、添付文書、インタビューフォーム