イグラチモド (ケアラム)の特徴について触れる。
関節リウマチの治療薬である。積極的に使うケースは多くないが簡単に整理する。
イグラチモド (ケアラム)の特徴
・単独もしくは、メトトレキサートとの併用で使う
・肝機能障害に注意する
用法・用量
開始時の用法・用量に注意する。開始は1日25mg。
「通常、成人にはイグラチモドとして、 1回25mgを 1日1回朝食後に4週間以上経口投与し、それ以降、1回25mgを1日2回(朝食後、夕食後)に増量する。」
【用法・用量に関連する使用上の注意】
「1. 1日50mgから開始した場合、1日25mgの場合と比較して、AST(GOT)、ALT(GPT)増加の発現率が高かったため、投与開始から 4週間は 1日25mgを投与すること。
2. 1日50mgを超えて投与しないこと
3.本剤の効果は、通常、投与開始後16週までに発現するので、16週までは継続投与し、効果を確認することが望ましい。
4.本剤並びに疾患の特性を考慮して、治療にあたっては経過を十分に観察し、漫然と投与を継続しないこと。」
※効果の確認をしないといけないので注意
薬理作用・作用機序
自分の免疫機能の亢進状態を抑制する
転写因子NF-κBの活性化および核内移行を抑制
↓
単球/マクロファージ及び滑膜細胞の炎症性サイトカイン(TNFα、IL‒1β、IL‒6 など)産生やB細胞の免疫グロブリン(IgG、IgM)産生を抑制
↓
抗リウマチ作用
↓
関節の痛みや腫れを改善する
※もともとCOX阻害剤として開発されていた経緯もあり抗炎症、鎮痛作用がある。
→消化性潰瘍のある人には禁忌
注意すべき副作用
「肝障害」に一番注意する。50mgに増量した際など気を付けること。
検査値としては、「肝障害」、「腎障害」、「血液障害」の有無を確認する。
頻度はそこまで高くないが「間質性肺炎」にも注意。
催奇形性があるため、妊婦に禁忌である。
※1日50mgで開始した場合、1日25mgの場合よりAST、ALTの増加しやすい。そのため、服用開始時は、1日25mgから開始して4週間後に増量する。
※40㎏未満の人で副作用が起きやすい。
【用法・用量に関連する使用上の注意の記載】
「1日50mgから開始した場合、1日25mgの場合と比較して、AST(GOT)、ALT(GPT)増加の発現率が高かったため、投与開始から 4 週間は 1日25mgを投与」
【重要な基本的注意の記載】
「本剤投与前には必ず肝機能の検査を実施すること。また、投与中は臨床症状を十分に観察するとともに、投与開始後最初の2ヵ月は2週に1回、以降は1ヵ月に1回など定期的に肝機能検査を行うこと。なお、肝機能については、臨床試験において、AST(GOT)、ALT(GPT)増加の発現率が高かったことから、異常が認められた場合には、投与継続の可否を検討するとともに、特に目安として100IU以上に増加した場合は投与を中止すること。」
「本剤投与前には必ず血液、腎機能等の検査を実施すること。また、投与中は臨床症状を十分に観察するとともに、投与開始後最初の 2 ヵ月は 2 週に1 回、以降は 1 ヵ月に 1 回など定期的に血液、腎機能等の検査を行うこと。異常が認められた場合は、投与継続の可否を検討するとともに、適切な処置を行うこと。なお、赤血球減少、白血球減少、血小板減少等の血液障害が認められた場合は、必要に応じ本剤の投与を中止又は休薬し、適切な処置を行うこと。」
併用禁忌
「ワーファリン」との併用が禁忌である。
機序は不明だが、出血しやすくなるので禁忌となっている
使われ方
・第一選択薬ではない
※あくまでも第一選択薬は、メトトレキサートを考慮する。
・メトトレキサート単独で効果不十分の場合、メトトレキサートとの併用により効果が期待できる。
・単独使用により、サラゾスルファピリジンと同等の効果が示されている。
服薬指導やフォローで確認すると良いこと
・「食欲不振」、「だるさ」、「吐き気」、「嘔吐」、「腹痛」、「めまい」、「胃もたれ」などの副作用の確認
間質性肺炎も起こる可能性があるので「咳」「発熱」「呼吸困難」などの有無もチェックすると良い
・確認する検査値→「肝」「腎」「赤血球」「白血球」「血小板」
※検査値だけでなく、自覚症状の確認も大切
・ワーファリンは併用しない。
参考資料
ケアラム®添付文書、インタビューフォーム