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整形外科・骨

関節リウマチ と治療目標~T2Tの話~

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関節リウマチ と治療目標~T2Tの話~について簡単に触れる。
関節リウマチの診断だけを言えば、RF値や抗CCP抗体など確定診断とはいかないが参考となる指標はある。
別記事でもまとめているので興味があれば見て欲しい。
今回は、関節リウマチと診断された後の治療目標についてである。

参考資料
リウマトイド因子 (RF値)について~ざっくりと~

関節リウマチ と治療目標

関節リウマチは、関節炎を主徴とする慢性炎症性疾患である。慢性というのがポイントで、生涯付き合っていく病気である。
そもそも薬の効果が出ているとか・・・リウマチの症状をモニタリングするのに適切な検査値というものはない。それならば、どうすればいいのだろうか。

関節リウマチの治療目標とは?

関節リウマチ診療ガイドラインには以下のように治療目標が示されている
「関節リウマチの疾患活動性の低下および関節破壊の進行抑制を介して、長期予後の改善、特にQOLの最大化と生命予後の改善を目指す」

※大切なことは、QOLと生命予後と明言されている。

T2Tとは?

T2Tとは、treat-to-targetの略で、「決めた治療目標に向かってコントロールをする治療」や「治療目標をもったリウマチ治療」といった考え方である。イメージとしては、「臨床的な寛解」や「リウマチの活動性の低下」を目標としている。
具体的には、3か月ごとに治療法などを見直し、目標を達成した場合は維持することが大切である。

ガイドラインでは?

関節リウマチ診療ガイドライン2020では、「原則として6か月以内に治療目標が達成できなければ次のフェーズに進む」とされている。
フェーズは、フェーズⅠからⅢまで設けられている。また、フェーズ毎に「どの薬剤」を考慮するか具体的に示されているので分かりやすい。
また、抗リウマチ薬と補助的な薬とに分けてあるため、何のために服用するか明確である。
例えば、抗リウマチ薬としては、フェーズⅠでは、まずメトトレキサートを考慮するとされている。さらに、メトトレキサートが服用出来ない場合もあるので、フェーズ毎にメトトレキサートを併用するのか?併用しないのか?によって薬物療法が変わってくる。
ちなみに、NSAIDs、副腎皮質ステロイド、抗RANKL抗体は、補助的な薬に区分されている。

治療原則(世界共通?)

国内、国外関係なく共通の治療原則を載せておく。

「A:関節リウマチ患者の治療目標は最大のケアであり、患者とリウマチ医の協働的意思決定に基づかねばならない
B:治療方針は、疾患活動性や安全性とその他の患者因子(合併病態、関節破壊の進行など)に基づいて決定する
C:リウマチ医は関節リウマチ患者の医学的問題にまず対応すべき専門医である
D:関節リウマチは多様であるため、患者は作用機序が異なる複数の薬剤を必要とする。生涯を通じていくつもの治療を順番に必要とするかもしれない
E:関節リウマチ患者の個人的、医療的、社会的な費用負担が大きいことを、治療にあたるリウマチ医は考慮すべきである。」
(EULARリコメンデーション2019より)

※関節リウマチは、生涯付き合っていく病態であるため、経済面も考慮して治療をしていくことは非常に大切である。

参考資料
関節リウマチ診療ガイドライン2020
EULARリコメンデーション2019改訂版