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腎臓関連

ケレンディア (フィネレノン)の特徴について~今後追記予定~

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ケレンディア (フィネレノン)の特徴について簡単に整理する。
非ステロイド型の選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の新薬として登場(2022)
非ステロイド型ということで性ホルモンなどへの影響が少ない特徴がある。それ以外のポイントをいくつか載せておく。
メーカー曰く、今後適応症を拡大する予定とのこと
話は逸れるが、アメリカのガイドラインには既に登場している。

ケレンディア (フィネレノン)の特徴

・慢性腎臓病に使える薬剤として注目されている
・アルブミン尿を測定して薬物治療の導入を検討できるという点で新しい

効能・効果

「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病、ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。」

※末期腎不全というのは、eGFRが15より低い人
※慢性腎臓病ということで心血管及び腎イベントのリスク因子であるアルブミン尿(UACR≧30mg/g)が検出された人なども対象
※多くの場合、慢性腎臓病は糖尿病を合併しているが、今後「2型糖尿病を合併する」という部分がなくなる可能性もある

効能又は効果に関連する注意(一部)

「アンジオテンシン変換酵素阻害薬又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬による治療が適さない場合を除き、これらの薬剤が投与されている患者に投与すること。」

※ARBやACEIへの上乗せが基本だが、服用してなくても使うことが出来る

「本剤投与によりeGFRが低下することがあることから、eGFRが25mL/min/1.73m2未満の患者には、 リスクとベネフィットを考慮した上で、本剤投与の適否を慎重に判断すること。」

※飲み始めに少し腎機能の数値が悪化することがあるので注意すること

用法・用量

「通常、成人にはフィネレノンとして以下の用量を1日1回経口投与する。
eGFRが60mL/min/1.73m2以上:20mg
eGFRが60mL/min/1.73m2未満:10mgから投与を開始し、血清カリウム値、eGFRに応じて、投与開始から4週間後を目安に20mgへ増量する。」

※血清カリウム値が4.8以下で開始出来る薬剤であり、その後血清カリウム値に注意する
※eGFRによって用量調節する薬剤である

【重要な基本的注意の記載】
「高カリウム血症があらわれることがあるので、原則として血清カリウム値が4.8mEq/L以下の患者に投与開始し、投与開始又は再開、増量から4週後に血清カリウム値及びeGFRを測定し、その後も定期的に測定すること。また、投与開始時の血清カリウム値が4.8mEq/L超の患者では、血清カリウム値及び患者の状態に応じて投与開始から4週後よりも前に追加の血清カリウム値測定を考慮すること。」

作用機序・薬理作用

非ステロイド型の選択的ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬である。

アルドステロンによる細胞内MRの活性化により電解質の貯留・排泄が調節されているが、MRが過剰に活性化すると、「腎臓」や「心血管系」において、炎症、線維化、ナトリウム貯留や臓器肥大が生じる。

【作用機序】

フィネレノンがMRに結合する

MRの過剰活性化を抑制する

炎症や線維化などを抑制する

心血管、腎障害を抑える

※アンドロゲン、プロゲステロン、エストロゲン及びグルココルチコイドの受容体には結合しない
※利尿自体はあるが、生理機能に影響するほどではない。(体の水分的ボリュームが減って効果がどうこうの薬剤ではない)

効果の判定はどうする?

・eGFRが維持されているかどうか
・eGFRの低下が、いつもより緩やかになっているかどうか
・アルブミン尿の量で判断
・タンパク尿が出ている人は、例えば+2から+1になっているとか

他のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬との大きな違い

効果面での違いの話をすると、第Ⅲ相試験の結果でエンドポイントをクリア、発現リスクが低下していることが凄いところ。
今回、フィネレノンで結果が出ているのは、心血管複合エンドポイントと腎複合エンドポイントである。
心血管複合エンドポイントとしては、心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心不全による入院
腎複合ポイントとしては、腎不全の発症、40%以上のeGFR低下、腎臓死

※おそらく今後は、心臓面の適応拡大をしていく

副作用

「重大な副作用として、高カリウム血症(8.8%)が報告されている。その他の副作用は、低血圧(1%以上)、糸球体ろ過率減少(1%以上)、低ナトリウム血症(1%未満)である。」

※カリウムの上昇には注意すること

その他の特徴

・禁忌にイトラコナゾールやクラリスロマイシンがある
・一包化可能、OK
・粉砕、つぶし可能、OK
・簡易懸濁法 可能、OK
・20mg投与したい場合に10mg2錠ではダメ
※バイエルは試験を行っており、20mgを1錠と10mgを2錠では、同等という結果にならなかったので代替不可となっている

参考資料
ケレンディア、添付文書、インタビューフォーム
バイエル、問い合わせ