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循環器

ベリキューボ 錠 (ベルイシグアト)の特徴について

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ベリキューボ 錠(ベルイシグアト)特徴について簡単に整理する。
2022年に長期処方が解禁となり、今後処方が増えるだろうと予想される。

ベリキューボ 錠(ベルイシグアト)の特徴

・1日1回で良い
・比較的血圧への影響が少ない
・併用注意が少ない

効能・効果

「慢性心不全、ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。」

※1剤でも心不全の治療で服用している薬があればOK

【効能又は効果に関連する注意】
「左室駆出率の保たれた慢性心不全における本剤の有効性及び安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること」

※処方元は、コメントとして「左室駆出率」を入れる必要があるので注意。日付も忘れないように。
※LVEF45%未満。HFrEFとHFmrEFに少しかかるくらいの方が対象となっている。

用法・用量

「通常、成人にはベルイシグアトとして、1回2.5mgを1日1回食後経口投与から開始し、2週間間隔で1回投与量を5mg及び10mgに段階的に増量する。なお、血圧等患者の状態に応じて適宜減量する」

※血圧による増減であるが、収縮期血圧が「90mmHg」だと減量したり、中断する必要があるので注意すること。
出来れば収縮期血圧100mmHgだと安心。

作用機序・薬理作用

ベリキューボ 錠 (ベルイシグアト)の作用

sGC(NOの受容体)の感受性を高める作用+sGCを直接刺激する作用
※NOとsGCの結合を安定化させる
※血管と心臓に分布するsGCを直接刺激する

この2つの作用により、cGMPの産生を増加

心不全の進行を抑制する

【補足】
慢性心不全の病態として、NOの産生低下、のNO感受性低下が起こっている。
詳しく説明すると、sGC(NOの受容体)は一酸化窒素(NO)のシグナル伝達経路に必要不可欠である。
sGCとNOが結合することによって産生される環状グアノシン‐リン酸(cGMP)が血管や心臓の機能で重要な働きをしている。
慢性心不全患者において、酸化ストレスなどによるNOの産生能障害によりsGCの活性低下が生じ、心不全や血管障害を引き起こすことが分かっている。具体的には、心肥大、線維化の亢進、炎症惹起、冠血流の低下、血管機能低下などを生じる。

※sGC→可溶性グアニル酸シクラーゼのこと。血管内皮細胞に存在しているNOの受容体

使用する目的・意義

使用目的としてのポイントは、「心血管死」と「心不全による入院」を減らすことである。

※急性心不全で入院した患者の約4分の1が1年以内に再入院している。そのため、再入院を減らすことが重要となる

副作用

インタビューフォームより引用すると
「重大な副作用は低血圧(7.4%)である。主な副作用は浮動性めまい、低血圧(1~10%)、頭痛、消化不良、胃食道逆流性疾患、悪心、
嘔吐(1%未満)、貧血(頻度不明)である。」

※他の心不全治療薬などと併用する必要があるため、低血圧が多いように見える?可能性はありそう
※医療従事者としては、血圧の変動で量を変える薬なので血圧フォローは必須

ベリキューボの良いところ

・他の心不全治療薬と比較すると血圧への影響が少ない
・併用注意が少ない

その他の特徴

・一包化可能、OK
・粉砕可能・OK
・簡易懸濁法可能・OK
・錠剤を割ることが出来るので院内採用の施設では、5mg規格のみを採用するところもある
・CKDの人でも結果が出ている(VICTORIA試験)
・NT-proBNPの評価で、早めに飲み始めた方が効果が高いことが分かっている(VICTORIA試験)

参考資料
ベリキューボ、添付文書、インタビューフォーム
ベリキューボ、VICTORIA試験
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