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精神科

アルコール依存症とアカンプロサートカルシウム(レグテクト®)について

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補足:アルコール依存症の離脱症状の治療

抗酒薬についてはこちらを参照
ジスルフィラム(ノックビン®)とシアナマイド(シアナマイド®内用液)の違い

①アルコール依存症

アルコール依存症は慢性的に多量飲酒をする人は誰でも発症する。
生活習慣病のリスクを高める飲酒をする方が約 1000 万人いる。
(1 日平均男性 40g 以上、女性 20g 以上)
アルコール依存症の診断基準に該当したことのある方は 107 万人と推計
されている。
厚生労働省の患者調査では、アルコール依存症の治療を受けている患者数は約 5 万人とわずかであり、かなり問題となっている。

②アカンプロサートカルシウム(レグテクト®)

構造上の特徴

アセチルホモタウリンのカルシウム塩である。
→タウリンが2つあって間にカルシウムがある形

脳内の主要な抑制性神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)と構造上似ていいるため、GABA受容体に対する結合活性がある。

薬理作用

アルコール自発摂取抑制作用が確認されている

アルコール依存で亢進したグルタミン酸作動性神経活動を抑制する



興奮系であるグルタミン酸の急激な上昇を抑制する
+
抑制系であるGABA受容体に対してアゴニスト(作動薬)として働く

※アルコール依存症の根本的な治療ではなく、
飲酒欲求を制御することで断酒を助ける薬である。

用法及び用量(添付文書引用)

「通常、成人にはアカンプロサートカルシウムとして666mgを1日3回食後に経口投与する。本剤の吸収は食事の影響を受けやすく、有効性及び安全性は食後投与により確認されているため、食後に服用するよう指導すること。
[空腹時に投与すると、食後投与と比較して血中濃度が上昇するおそれがある。」

→副作用を防ぐためにも「食後」の服用が大切。

「本剤の投与期間は原則として24週間とすること。
治療上の有益性が認められる場合にのみ投与期間を延長
できるが、定期的に本剤の投与継続の要否について検討し、本剤を漫然と投与しないこと。」

→基本的に6か月使用し、漫然と投与しないことが記載されているので
それ以上の期間になったら疑義照会は必要だろう

副作用(添付文書引用)

「国内臨床試験において、安全性評価対象症例199例中37例(18.6%)に副作用が認められた。主な副作用は、下痢28例(14.1%)、傾眠、腹部膨満、嘔吐 各2例(1.0%)であった。(承認時)」

→やはり「空腹時」に服用して下痢などが起こらないように
「食後」の服用は大切である。

製剤的な特徴

腸溶性のフィルムコーティング錠なので粉砕などはNG!
噛んで飲むことも出来ないので注意すること

補足:アルコール依存症の離脱症状の治療

アルコール離脱症状の治療の第一選択は、ベンゾジアゼピン系薬物。
高齢者など縛りが無ければ、ジアゼパムなどの長時間作用型が推奨されている。

使用例:
ジアゼパムで 1 回 2~10mg、1 日 3 回投与で開始し、症状に応じて漸減。

参考文献
新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドラインに基づいたアルコール依存症の診断治療の手引き、第一版