LABA・LAMA・ICS について触れる。
吸入薬は1種類よりも2種類以上の成分を併用することが多い。
また、合剤を使うことで吸入器の数を減らし、アドヒアランスを向上させようという医療業界の流れがある。
その中で今回は、エナジア®という製品のインタビューフォームにて併用の意義について分かりやすく記載されていたので参考にさせていただき簡単にまとめることにした。
エナジア®などの具体的な製品の特徴などは別記事にまとめる予定である。
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β2刺激薬(LABA)と抗コリン薬(LAMA)の併用効果
β2刺激薬と抗コリン薬の併用により、
平滑筋弛緩に関わる2つの異なる受容体に作用することで
「相加的」な治療効果を狙っている。
※気管支のβ2受容体とM3受容体の分布の具合が場所によって違う。
・β2受容体は末梢気道に近いほど多い。
・M3受容体は中枢気道に近いほど多い
そのため、幅広く気管支を拡げることが出来ると考えられる。
※他にも次のような作用が期待できる
β2刺激薬による副交感神経終末のβ2受容体刺激
↓
副交感神経末端からのアセチルコリンの放出が減少
↓
抗コリン薬により誘導される気管支平滑筋弛緩作用が増大
β2刺激薬(LABA)とステロイド(ICS)の併用効果
β2刺激薬(LABA)とステロイド(ICS)は、お互い影響を及ぼし合うことで、併用の増強効果が得られることが示唆されている。
【ステロイド→β2刺激薬】
ステロイドによりβ2刺激薬の作用する場所が増える。
詳細は下記のような機序が考えらえる。
ステロイドはβ2受容体とGsタンパク質発現を誘導
↓
細胞表面上のβ2受容体数が増加
↓
β2刺激薬によるβ2受容体シグナルが増強
↓
β2刺激薬の長期連用に伴うβ2受容体のダウンレギュレーションを
抑制できる可能性も考えられる。
【β2刺激薬→ステロイド】
β2刺激薬はグルココルチコイド受容体の核内移行を促進
↓
β2刺激薬との併用によりステロイドの抗炎症作用が増強
抗コリン薬(LAMA)とステロイド(ICS)の併用効果
ステロイド(ICS)または、ステロイド/β2刺激薬(ICS/LABA)併用でコントロール不十分な喘息患者に抗コリン薬(LAMA)を追加することで呼吸機能を改善し、
増悪予防効果を示すことが分かっている。
抗コリン薬とステロイド併用時の詳細な効果は分かっていない
ただし、併用によりGs タンパク質共役型受容体シグナルが亢進すると考えれている。
それにより、気管支収縮作用を有意に抑制したという報告がある。
参考資料
エナジア®インタビューフォーム
Ikeda T., et al.:Br. J. Pharmacol. 2012; 166(6):1804-14
Calzetta L., et al.:Curr. Opin. Pharmacol. 2018; 40:95-103
Cazzola M., et al.:COPD 2009; 6(5): 404-15
Barnes PJ., et al.:J. Biol. Chem. 2011; 286(38): 32899-905
89) Newton Rand., et al.:Br. J. Pharmacol. 2016; 173(24):3405-30
Cazzola M., et al.:Pulm. Pharmacol. Ther. 2016; 36: 1-9