整腸剤の特徴や違い について触れる。
「適応症」はどれも同じだが微妙に違いが存在する
適応症:「腸内菌叢の異常による諸症状の改善」
個人的にオススメというか
自分自身服用したいのは「ミヤBM®」か「ビオスリー®」だろうか
①ビオフェルミン錠とビオフェルミン散
ビオフェルミン錠について
1錠中にビフィズス菌12mgを含有する。
菌種:Bifidobacterium bifidum
※「ビフィズス菌」についてはこちら
ビオフェルミン散について
1g中に次の成分を含有する。
ラクトミン……6mg
糖化菌……4mg
・ラクトミン(Lactomin)
菌種:Streptococcus faecalis
・糖化菌(Amylolytic Bacillus)
菌種:Bacillus subtilis
※錠剤と散剤の2つの製剤で微妙に含有する菌体が異なる。
なぜ?武田薬品に聞いてみた。
理由:
整腸剤としての効果に差はないが、
個々人で「細菌叢(さいきんそう)」に違いがあるため、菌体の合う合わないがある。
そのため、メーカーがあえて異なる菌体で製品を作っているとのこと。
※ただし、「菌体数」は同じであるため剤形変更の際は
1g=1錠で行う。
※mg数にとらわれないこと
関連動画
②ラックビー微粒Nとラックビー錠について
・ラックビー錠と微粒Nの含む菌種は等しい
※ビオフェルミンは違ったが、こちらは同じである
・1g=1錠で剤形変更する
一般名:ビフィズス菌
菌 種:Bifidobacterium longum, Bifidobacterium infantis
・補足
ラックビー微粒Nの「N」とは?
インタビューフォームより引用
「ラックビー微粒Nについては、形状(微粒)及び抗生物質に対する
耐性を付与していない通常(normal)の生菌製剤のNを付した。」
→抗生物質に「耐性がない」ということを示している
③ミヤBM錠とミヤBM細粒
1g=2錠で剤形変更する。1:1ではないので注意。
宮入菌は細菌分類学上Clostridium butyricumに属する
グラム陽性、有芽胞、偏性嫌気性の桿菌である。
下記2つに注目する。
芽胞を有すること
・胃酸などに強く、死滅せずに生きたまま腸に到達し増殖する。
また、胆汁酸、腸液、消化酵素などの影響も受けにくい
・抗菌薬に対して耐性がある
・耐性乳酸菌製剤と違い全ての抗菌薬と一緒に処方可能である。
※ビオフェルミン®の場合ビオフェルミン®Rに変更する。
・「ニューキロン系」や「ホスホマイシン系」と一緒に処方されることも多い
酪酸を産生すること
・「酪酸菌」と「酪酸」の特徴について
・一般的に「乳酸菌類」は強酸性下の胃液中において死滅するのに対して、
「酪酸菌」は、ほとんど影響を受けない。
・抗生物質投与時に起こる下痢などの諸症状に対して改善効果を示す。
・酪酸菌自体の作用のみならず、酪酸菌の主要代謝産物である「酪酸」
には、腸粘膜萎縮改善作用がある。
潰瘍性大腸炎などの粘膜修復作用が動物実験で示されている。
臨床データはない 。しかし・・・
腸内の「酪酸」が少ないほど「潰瘍性大腸炎」が重症であることが知られており、
また、 「酪酸」が多いほど軽症例であることが分かっている。
補助的に「クローン病」や「潰瘍性大腸炎」に用いられることがある 。
※ドラッグストアでも購入可能。
ミヤBMの別記事は下記を参照のこと
ミヤBMの特徴について
補足:耐性乳酸菌製剤の適応症
下記抗生物質、化学療法剤投与時の腸内菌叢の異常による諸症状の改善:
ペニシリン系、セファロスポリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系、
ナリジクス酸、テトラサイクリン系(ラックビーRは除く)
※ニューキノロン系やホスホマイシン系が入っていないので注意!!
関連動画
④ビオスリー製剤
・3種の菌体を含有する。
「ラクトミン」、「酪酸菌」、「糖化菌」の3つ
・剤形変更する際は、1g=2錠
・酪酸菌を含むため、抗生剤との併用としても処方可能
ニューキノロン系、ホスホマイシン系においても保険で切られたという実績報告はない
とメーカーより返答あり。
⑤ビオラクチス散
メーカーに問い合わせても・・・これといってPR項目がないらしい・・
頑張ってヤクルトさん!
・「ガセイ菌製剤」である
・ビフィズス菌は大腸で増えるが、ガセイ菌は小腸で増える
・冷所保存
・胃酸耐性、胆汁酸耐性等の消化液耐性が高い乳酸桿菌である。
参考資料
各製剤の添付文書・インタビューフォーム
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