" />

動画 在宅医療 歯科 高齢者

口腔ケア について~意義や口腔トラブルの基礎~

スポンサーリンク

口腔ケア の意義や口腔トラブルについて簡単にまとめる
入院だけでなく在宅で過ごす方も多くなってきた。
寝たきりの人やがんの人など、昔では考えられないがことが行われている。
その中で、口の中の衛生環境を悪くしないように口腔ケアが注目されている。
口腔ケアと言っても、色々なものが考えられる。
(自分で行う歯磨きや家族や医療スタッフが行う口腔管理など)
口腔ケアは、後回しというか・・・重要度が低かったりするが、QOLに直結するのでとても大切である。

①口腔ケアの意義

口内の痛みや出血の減少、感染症予防に有効

※がん患者などは、口腔合併症の発症率、重症度に関係している
※がん患者では、亡くなる数日前からADLが急速に低下する。
最期まで口から摂取できるようにするため、口腔ケアは大切である。
また、口腔ケア自体が苦痛とならないような配慮は当然必要。
作業自体が疲労感を誘発する可能性がある・・・

誤嚥性肺炎の起因菌のほとんどは、口腔常在菌である。
口腔ケアを行うことで発症率、発熱日数を下げることが分かっている。

※ALS患者でも唾液の飲み込みが悪くなり「むせたり」「咳き込んだり」
してしまうためケアは大切である。

ALS: 筋萎縮性側索硬化症

②口腔トラブルはどんなものが?

口腔乾燥

・口腔乾燥が起こると口腔内の出血などを生じる
例えば、がん患者では唾液の分泌が減っている。

・物を食べるときに「痛い」をいう訴えがある。

・口唇が乾燥していれば口腔内全体が乾燥している可能性がある。

※そもそも、がんなどの治療薬自体で口渇を引き起こすこともあるので
薬剤師としてもフォローすることが重要である。

・保険適応がある内服(すべてではない)
エボザック®、サリべート®、麦門冬湯、白虎加人参湯など

・保湿作用のあるもの
2%重曹水、グリセリン、グリセリン含有うがい液、人工唾液など

ちなみにハチアズレ®+グリセリンのうがい液の作り方は以下の動画を参照していただけると嬉しい
詳しい内容はこちらを参考してください

口腔感染症

感染症により口臭が生じることがある。
舌苔などからの口臭も注意

細菌による口腔感染症、歯周炎
真菌による真菌感染症→口腔カンジダ症
※がん患者では、口腔カンジダ症のリスクが高い。
日和見感染症のため、免疫力が落ちると発症しやすくなる。

※抗がん剤治療などにより口内炎が生じることもあるので感染症の有無を診てもらうことは大切である。

その他:義歯などの問題

薬局で義歯の有無などを聞いているだろうか。
部分的なものなのか?総入れ歯なのか?
義歯によるトラブルは、義歯部分の痛みによる褥瘡などもあり深刻である。
口腔乾燥(唾液の減少など)により義歯が合わなくなることもあるため、
聞き取りにより「義歯が合わない」「義歯が痛い」などの訴えがあれば、
ケアを考える必要がある。
義歯の調整や乾燥対策など色々行うべきである。

おまけ:口腔ケア用品の例

歯ブラシ

・先端は小さめ(口が開けにくいと奥まで入らない)
・硬さは「ふつう~やわらかめ」(痛みがないものを選ぶ)
・持ちやすいものを選ぶ

歯磨きが難しいときは、うがいや保湿のみでも効果はある

舌ブラシ

舌の汚れなどは、歯ブラシで無理やりケアすると粘膜を傷つけてしまう
舌ブラシを使うようにする

歯間ブラシ

歯間ブラシを使って歯の間を掃除する際は、一番小さいサイズから試す
例えば、SSSサイズとか

参考資料
Yoneyama T, Yoshida M, Matsui T, Sasaki H.: Oral care and pneumonia. Lancet 1999, 354 : 515.14.Smithard DG, O, Neill PA, England RE, et al :The Natural history of dysphagia following a stroke
要介護高齢者に対する口腔衛生の誤嚥性肺炎予防効果に関する研究:
米山 武義、吉田光由他 日歯医学会誌2001

在宅療養中のがん患者さんを支える 口腔ケア実践マニュアル