クレメジン (球形吸着炭)について簡単にまとめる。
慢性腎不全保存期における尿毒症症状の改善や,透析導入に至るまでの期間を延長する世界で初めての慢性腎不全に対する薬剤である。
1991年より販売が開始されている。
クレメジン®の剤形としては、細粒、カプセル剤、速崩錠の3種類が存在する。後発品(ジェネリック)は、細粒とカプセル剤のみである。
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先発品【クレメジン®】とジェネリック医薬品の話
球形吸着炭(クレメジン®)の食間服用の理由
①クレメジン (球形吸着炭)について
用法用量
「通常,成人に 1 日 6g を 3 回に分割し,経口投与する」
※通常、カプセルは1回に10カプセル、細粒は1包、速崩錠は4錠である。
カプセルになると結構多くなるので・・きつい人もいるかもしれない。
薬理作用
クレメジン®は、尿毒症毒素の1つであるインドキシル硫酸の前駆物質である「インドール」をメインに吸着する。
体内の尿毒症毒素の低下により、尿毒症症状の改善効果とともに、
腎不全の進行が抑制され透析導入を遅らせる効果がある。
メーカーのデータによると、「トリプトファン」や「インドキシル硫酸」に対しても吸着作用がある。
「トリプトファン」
↓
↓腸管内で腸内細菌により産生
↓
「インドール」
↓
↓肝臓内で代謝
↓
「インドキシル硫酸」
※CKD患者において、インドキシル硫酸濃度が高いほど生命予後が悪いことが報告されている
他剤と併用する際
・添付文書上の記載
「他剤を併用する場合,本剤は吸着剤であることを考慮し,本剤との同時服用は避けること」
・インタビューフォーム上の記載
「他剤と同時服用した場合,他剤の血中濃度を低下させることが報告されている。 他剤服用後,30 分から 1 時間以上あけて服用すること。ただし,他剤の効果には十分注意すること。」
※同時服用は避けるようにしないといけない。食後2時間とか食間とか指示が出たりする。
適用目安と効果判断
適用目安や効果判定は、添付文書に詳しく書かれているので知っておくと良い。
※適用目安
具体的なクレアチニンの値の推移が示してある。
「透析導入の遅延に関しては,本剤適用前の血清クレアチニン(S-Cr)の上昇の割合が中等度以上(1ヵ月当りの1/S-Crの変化が 0 . 01 dL/mg 以上)であることを確認した上で,本剤の適用を考慮すること.これに相当する血清クレアチニン値の変化の目安は次表のとおりである.
1ヵ月前の血清クレアチニン値 → 現在の血清クレアチニン値
2.9mg/dL→3. 0mg/dL
4.8mg/dL→5. 0mg/dL
6.5mg/dL→7. 0mg/dL」
※効果判定
効果がなければ、中止を考慮しないといけない
「本剤服用中においては,血清クレアチニン及び尿毒症症状の変化等の経過を適宜観察し,投与開始6ヵ月を目標に投与継続の適否を検討する.改善が見られない場合には,中止又は他の療法を考慮する等の適切な処置を行うこと.」
「本剤服用中において改善が望めない状態に至った時は,透析療法導入等の適切な処置を行うこと.」
②クレメジン の小ネタ
インタビューフォームのその他の項に小ネタがあるので一応載せる。
本当?という内容なので・・・
特に(1)に関しては、本当に滑るのだろうか・・
掃除のやり方は重要なので服薬指導で使えそう。
掃除機があれば一番いいかもしれない。
(3)の入れ歯の問題はアデホスコーワ顆粒などでも時々聞くので
意外と高齢者は気になるのだろう。
「クレメジン細粒分包 2g
(1)こぼさないように注意すること。
[本剤を床の上に大量にこぼした場合,滑って転倒するおそれがあるので放置したままにしないこと。こぼしたときは,早めに濡れたタオルなどで拭きとるか,掃除機で吸いとる。]
(2)目に入らないように注意すること。
[目を傷付けるおそれがある。袋の内側に静電気により残った本剤を服用しようとするとき,上を向いた状態で,袋を目より高い位置からたたくなどして飛散させないように注意すること。]
(3)歯の隙間や入れ歯の隙間に入ることがあるので,そのような場合は,よくうがいをするか,歯ブラシでブラッシングするなどして取り除くこと。」
参考資料
クレメジン®添付文書、インタビューフォーム
クレメジン®速崩錠、添付文書、インタビューフォーム
barretp FC et al. Clin J Am Soc Nephrol.2009;4:1551-8