おまけ:ケトン体とは?
①ケトアシドーシスとは?
ケトアシドーシスって?
高ケトン血症のことを指す。
エネルギーの代謝的に言うと・・・
「糖質」からではなく「脂質」からエネルギーを得ている状態
※ケトン体:飢餓状態では、「脳」や「筋肉」のエネルギーとなる。
おまけ:ケトン体とは?
「アセトン」、「3-ヒドロキシ酪酸」、「アセト酢酸」
※アセトン→呼気中に放出
起こる機序
糖尿病ではインスリン作用が不足している。
↓
体内で「ブドウ糖」を利用できない。
↓
「脂肪」や「タンパク質」がエネルギーとなる・・・
肝臓で中性脂肪が代謝される。
↓
ケトン体が生じる。
↓
血液中にケトン体が過剰に蓄積すると・・・
↓
血液が酸性に傾く。
これが「ケトアシドーシス」である。
↓
つまり、「糖質」からではなく「脂質」からエネルギーを得ている状態
※ケトン体のうち「アセトン」、「3-ヒドロキシ酪酸」が酸性である。
※診断所見
高血糖(250mg/dL以上)
pH<7.3
症状
「口渇」、「多飲」、「多尿」、「体重減少」、
「 全身倦怠感」が急激に起こる。
↓
さらに進むと
「 悪心」、「嘔吐」、「呼吸困難」
「意識障害」を起こすことがある 。
どんな人になりやすい?
多くは「1型糖尿病」の人がなりやすいが、
糖尿病性ケトアシドーシスの中で2~3割程度が「2型糖尿病」である。
※注意するケースは?
低糖質食(極端な食事制限注意)、絶食(飢餓時)、
運動時、シックデイ時など注意が必要
→この場合などに「ケトン体」は生成されやすい。
※2型糖尿病で清涼飲料水の飲みすぎの際は注意
※妊娠している方では、妊娠していない人より低い血糖値で起こりやすい
②シックデイについて
シックデイとは?
Sick day :(糖尿病患者が)糖尿病以外の病気になること。
何かしらの原因で血糖コントロールが不良になっている状態
糖尿病治療ガイド2018-2019の引用
「糖尿病患者が治療中に発熱、下痢、嘔吐をきたし、
または食欲不振のため食事ができないとき」
起こる機序
感染症(急性)、消化器の疾患、外傷などが原因となる
↓
急に代謝失調が起きる。
↓
ホルモン(カテコールアミン・グルカゴン)が 肝臓・筋肉・脂肪に作用する。
↓
グリコーゲンの分解が促進される
↓
糖新生が活発に・・・
↓
血糖値が上がる(高血糖)。
↓
体内におけるインスリン需要が増えてしまう。
対処を怠ると糖尿病性ケトアシドーシスや高血糖高浸透圧性症候群となり命にかかわる。
低血糖になるケースもあることも知っておくこと。
症状は下記参照。
症状について
「下痢」、「嘔吐」、「食欲が落ちる」などが起きる。
そのため、血糖コントロールが不良に・・・ 高血糖・低血糖どちらも起きるうる
また、ケトアシドーシスになることもある
※高齢者はシックデイになりやすい。(脱水注意)
対処法
・安静にする
・水分補給(脱水注意)
※1日1.5Lから2L
・内服薬は減量・中止することがある
※ビグアナイド薬やSGLT2阻害薬は中止
※インスリンは継続!
・絶食は避ける
・消化の良いものを食べる
※スープ・ジュース・うどん等
消化の良いものを摂り、1日200gから300gの糖質が必要
※高齢者糖尿病治療ガイド2018によると
「100~150gの糖質摂取がケトーシス回避のために望ましい」
・その他
インスリンの量などは医師から細かい指示が出ている可能性もある
薬局業務において患者本人が理解しているか確認が必要だろう
参考資料・文献
高齢者糖尿病治療ガイド2018 日本糖尿病学会
糖尿病治療ガイド 2018-2019 日本糖尿病学会