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皮膚科

ベピオローション(過酸化ベンゾイル)の特徴について

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ベピオローションの特徴について簡単に触れる。2015年にベピオゲルが発売となり、2022年にベピオローションが承認された。ゲルにはないローションのメリットなども触れながらまとめたいと思う。
ディフェリンゲルとの違いなども入れているので参考にしていただきたい。

ベピオローションの特徴について

ローションの基剤的なメリットを活かそう。ゲルと比較して肌の乾燥を防ぐことが出来る!!

効能・効果

「尋常性ざ瘡」

用法・用量

「1日1回、洗顔後、患部に適量を塗布する。」

※「洗顔後」であるため、2023年現在、熊本県と山梨県では「顔」以外の部分で審査が通っていない。どうにかならないだろうか。
抗がん剤の副作用で「ざ瘡」が出るケースもあるので困るような・・・
ご自身の都道府県で保険が通るかどうかは調べておいた方が良い。

薬理作用・作用機序

ざっくり言うと・・・
「角質をはがし、毛穴のつまりを改善してアクネ菌を抑える(殺菌する)薬剤」であり、結果として炎症性皮疹と非炎症皮疹を改善することが出来る

【角層剥離作用】
毛漏斗部において、過酸化ベンゾイルの分解でフリーラジカルが生じる

角層中のコルネオデスモソームの構成タンパク質を変性させる

角質細胞同士の結合を弛めて、角質の剥離を促進する

(ピーリング作用)

【抗菌作用】
過酸化ベンゾイルの分解により生じたフリーラジカルが生じる

原因菌であるアクネ菌に対して抗菌作用を示す

※タンパク質を緩くするため、刺激感が出る。「乾燥」「皮むけ」
※効果を実感する期間の目安は、2週間から3か月くらい。
※ディフェリンゲル(アダパレン)は、ビタミンAであり、レチノイド様作用がある。
毛包漏斗部の顆粒細胞から角質細胞への分化を抑制して角層を薄くする。
「毛穴のつまりを改善する」薬剤である。

副作用

使い始め、皮膚の「赤み」、「ヒリヒリ感」、「皮むけ」、「乾燥」などの刺激症状が出やすい。
多くの人は、1か月程度で感じる頻度が減る。

100人に3人程度の頻度で「接触性皮膚炎」が起こるので注意。
赤みが強すぎるとか、かゆみや腫れが酷い場合は直ぐに受診するように指導しておく必要がある

※補足として、ディフェリンゲル(アダパレン)の副作用は、「刺激性」が中心で接触性皮膚炎はほとんどない。

使用時のワンポイント

○塗布後、15分から20分後に洗い流してOK
関連記事:ショートコンタクトセラピー とは? 

○最初に副作用が出ないか試す場所は、「おでこ」がおススメとのこと

○顔全体を塗る量
ローションの場合1円玉くらい出して塗る。
ゲルの場合、1FTU(人差し指の先から第一関節までの長さ)

○目や唇、鼻の粘膜などは避けて塗るようにすること

ローションを選択するメリット

ゲルではなく、ローションであるメリットがある。
製剤としてゲル自体は肌を乾燥させてしまう。
その点、ローションの方が、「肌からの水分の蒸発を抑える効果」と「ローション製剤自体がもつ水分量の多さ」を期待できる。

その他の注意点

○脱色に注意する。髪と服が付かないように気を付けること。
余談だが、1900年代あたり?過酸化ベンゾイル自体は、小麦を白くするのに使っていた。もともと何かを白くするために使われていた薬剤である。

○紫外線を避ける必要があるため、寝る前の指示が多い。
→紫外線で皮膚の刺激が増す可能性がある。ここでは触れないが、有機化学のフリーラジカルを思い出して欲しい所・・・

参考資料
ベピオローション、添付文書、インタビューフォーム
マルホ株式会社問い合わせ、勉強会