LAMAとLABAの吸入薬について~どちらがいいか?~
おまけ:COPD増悪とは?
ビレーズトリ®については下記を参照
https://mibyou-pharmacist.com/2019/10/09/ビレーズトリエアロスフィアの特徴について追/
①COPDについて(簡単に・・・)
COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease):慢性閉塞性肺疾患
慢性気管支炎や肺気腫の総称
タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入暴露することなどにより生ずる肺疾患
40歳以上の人口の約9%ほど。約530万人
40歳以上に多い疾患。喫煙歴があり、40歳以上で何かしら息切れがあると疑われる
慢性の咳や痰、階段を登ると息切れする場合は要注意
肺胞が破壊されて肺自体の弾力性・収縮性が低下していく疾患である
※喫煙者の15~20%の人が発症する
補足:喘息との違い
COPDは、喘息より、喫煙歴がある患者が多い。
喘息は、日内変動が多く、発作性、夜中の咳が多い。
COPDは、日内変動が少なく、持続的であり徐々に進行、
夜中に咳が多いわけではない
※高齢者では鑑別が非常に難しい
②LAMAとLABAの吸入薬について~どちらがいいか?~
いずれも気管支拡張薬である。
・LAMA:long-acting muscarinic antagonist
→長時間作用性抗コリン薬
・LABA:long-acting β2 agonist
→長時間作用性吸入β2刺激薬
※気管支拡張効果は同程度である。
しかし、LAMAの方が「増悪」を減らす力が強いという報告があるので
まず始めるのはLAMAの方がよいとのこと。
その後、症状あるいは増悪が残るときは LABAを追加して「配合剤」にする。
注意点について
・LAMAは抗コリン作用を有するので前立腺肥大の排尿困難があると使いにくい
→この場合、LABAを用いる
・LAMAは、閉塞隅角緑内障に禁忌
→LABAを選択するのもガイドライン上問題ない。
※スピリーバ®、シーブリ®、エクリラ®、エンクラッセ®は
「前立腺肥大症等の排尿困難」「閉塞隅角緑内障」に禁忌
・COPDと喘息合併例(Athma COPD overlap)エイコの場合
→ 喘息治療には、吸入ステロイドが必須のため
「吸入ステロイドなし」のLABAは避ける
→喘息が疑われる場合はLAMAを用いた方がよい。
※高齢者の男性は前立腺肥大症を合併していることが多いので注意
うちの薬局でも前立腺肥大症の薬が処方されている方に
スピリーバ®などが処方されることがあるので注意している。
おまけ:COPD増悪とは?
息切れの増加、咳や痰の増加、胸部不快感、違和感の出現あるいは増強などを認め 安定期の治療の変更が必要となる状態のこと
参考資料
日本呼吸器学会 呼吸器の病気
COPD診断と治療のためのガイドライン2018