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脂質異常症・コレステロール

パルモディア (ペマフィブラート)の特徴とフィブラート系との違いについて~ざっくりと~

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パルモディア (ペマフィブラート)の特徴と他のフィブラート系との違いについて簡単に整理する

補足:用語説明
ペルオキシソーム増殖剤活性化レセプター α(PPARα)
選択的PPARαモジュレーター(SPPARMα) 

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リファンピシンと薬物相互作用について

パルモディア (ペマフィブラート)の特徴とフィブラート系との違い

最大の違いは、パルモディア(ペマフィブラート)に腎機能低下者に対する禁忌がないことである(2022年)

パルモディア の薬理作用

高活性かつ選択的なPPARαモジュレーターである。

遺伝子発現を制御する核内受容体PPARαを
高い選択性により非常に低用量から活性化する

主に肝臓の脂質代謝を改善する。
血中の中性脂肪(トリグリセライド:TG)低下作用、
HDL-コレステロール増加作用等を有する。

【補足(用語説明) :ペルオキシソーム増殖剤活性化レセプター α(PPARα)とは?】

PPARα(Peroxisome Proliferator-Activated Receptor α)は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体の1つである。
PPARsとしは、3種類のサブタイプが確認されている。

今回注目するのは「α」である。
肝臓や褐色脂肪、心臓、腎臓で強く発現している核内受容体(タンパク質)で、活性化することで血中TG濃度の低下などを導く 。

※脂肪酸の利用度の高い組織において多く発現している。

【選択的PPARαモジュレーター(SPPARMα) 】

SPPARMα (Selective Peroxisome Proliferator-Activated Receptor α Modulator: SPPARMα, スパームアルファ)は、

PPARαを介した遺伝子の転写調節を選択的に行うことにより、従来のPPARαアゴニストのベネフィットを高め、リスクを軽減することを目指した薬剤のことをさす。

(追記)
通常、PPARαを活性化すると脂質改善作用を示したり、肝機能や腎機能の検査値 に影響を与える。選択的PPARαモジュレーター(SPPARMα)は、脂質代謝への効果を選択的に高め、その他の影響を少なくしている薬剤である。

効果面の違い・比較

ペマフィブラート(パルモディア)の方が・・・
1日2回服用というデメリットがある反面、
ペマフィブラート(パルモディア)の方がフェノフィブラート(リピディル®)より効果があるというデータがある。

※TG低下作用
ペマフィブラート(パルモディア®)0.2mg/日群 TG変化率-46.2%
フェノフィブラート(リピディル®)106.6mg/日群 TG変化率-39.7%

※HDL-コレステロール増加作用に有意差はない。

【フィブラートとの違い】
脂質代謝への効果を選択的に高める(TG低下、HDL上昇など)
また、肝臓(ALT、γGTP)、腎臓(クレアチニン)、心臓(ホモシステイン)への影響は少なくされている

※スタチンとの併用による第三相試験においてASTやALT、特にγ-GTPの値を下げるという効果が示されており
「脂肪肝」にも良いのでは?という臨床的な話もあるので面白い。
特に肝機能の数値自体を悪化させないというデータはいいと思われる。

腎機能への影響(2022年現在最大の違い)

ペマフィブラートは、腎機能の禁忌項目が2022年に削除された。そのため、腎機能の悪化した人で使えるフィブラート系の薬剤が限られる。
重度の腎機能低下の人に対してはペマフィブラートは、選択しやすい形となった。
その改訂に伴い添付文書も変更となっているため一部引用する。

【用法及び用量に関連する使用上の注意】
「急激な腎機能の悪化を伴う横紋筋融解症(「副作用 重大な副作用」の項参照)があらわれることがあるので、投与にあたっては患者の腎機能を検査し、eGFRが30mL/min/1.73m2未満の場合は低用量から投与を開始するか、投与間隔を延長して使用すること。また、最大用量は1日0.2mgまでとする。」

※メーカーに確認したところ、この部分の「投与間隔を延長」というのは。「1日2回」を「1日1回」にするイメージとのこと

【慎重投与】
「eGFRが30mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者〔横紋筋融解症があらわれることがある。〕」

【重要な基本的注意(5)】
「腎機能障害を有する患者において急激な腎機能の悪化を伴う横紋筋融解症(「副作用 重大な副作用」の項参照)があらわれることがあるので、投与にあたっては患者の腎機能を検査し、eGFRが30mL/min/1.73m2未満の場合は減量又は投与間隔の延長等を行うこと。」

副作用

※副作用は従来のものより少ない可能性あり

フェノフィブラートとの比較検証試験(P3)での副作用発現率は、
ペマフィブラート群が2.7%、フェノフィブラート群が23.7%だった。
(あくまで比較試験上・・・)

※承認時までに実施された臨床試験において、副作用発現率は、1,418例中206例(14.5%)

→発現率などの「%」は非常に難しい。メーカーも都合のいい部分を切り取るので現場としは判断が難しい・・・

※肝機能に関する副作用が少ない。(効果面の項参照)

※ペマフィブラートにおけるよくある副作用
「胆石症」、「糖尿病悪化HbA1c上昇」、「CK上昇」

代謝

肝代謝であり、胆汁排泄型である。73.3%は胆汁から排泄される。

注意点

※横紋筋融解症について

他のフィブラート系よりも横紋筋融解症のリスクが少ないというエビデンスが乏しい。
しかし、承認時までの国内臨床試験(合計1,418例)において、「横紋筋融解症」の副作用は報告されていない。

「原則禁忌」だったが削除(H30年10月16日改訂)

→重要な基本的注意(6)へ

「腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に、本剤とHMG-CoA還元酵素阻害薬を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。やむを得ず併用する場合には、本剤を少量から投与開始するとともに、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。」

血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上又はクレアチニンクリアランスが40mL/min未満の腎機能障害のある患者には禁忌

→2022年に「禁忌」から外されている。

※各種スタチン系との併用で双方の血中濃度に変化はない

※効能効果に関連する使用上の注意

「LDLコレステロールのみが高い高脂血症に対し、第一選択薬としないこと」

構造式の面

フィブリン酸(フィブラート系共通の構造)に加えて、フェノキシアルキル基と2-アミノベンゾキサゾール基の平たい構造を含めた部分がPPARαのリガンド結合ポケットにフィットする。そのおかげで、PPARαの活性化・選択性を高めている

おまけ

一包化・粉砕可能

参考資料
パルモディア®添付文書・インタビューフォーム
興和薬品 問い合わせ
脂質異常症診療ガイド2018