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泌尿器関連

酸化マグネシウムと尿路結石 の予防について

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酸化マグネシウムと尿路結石 の予防
時々業務中に、妙に添付文書をいつも以上に見てしまう時がある。
そんな時、ん?こんなのあったかな?というものを見つけるのも楽しい。
例えば、酸化マグネシウム(マグミット®)なんかは、ほぼ「便秘症」として処方されていると思われる。ただ、適応症として「尿路蓚(シユウ)酸カルシウム結石の発生予防」というものがある。
本当に効果があるのだろうか。
というか・・・・使われているのか?

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酸化マグネシウムと尿路結石の予防

酸化マグネシウムを飲む人が、必ず「便秘」だと決めつけるのは良くないのかもしれない・・・カルシウムの結石に対してクエン酸やマグネシウムは良いらしい。

尿路結石症診療ガイドラインの引用

CQ 37
シュウ酸カルシウム結石の再発予防薬として保険収載されているマグネシウム製剤は本当に有効か?

推奨グレードC1
シュウ酸カルシウム結石に対するマグネシウム製剤による再発予防に関して,有効なエビデンスがない。したがって,マグネシウム製剤による再発予防効果は議論のあるところである。

※C1:エビデンス十分とはいえないが、日常診療で行っても良い

インタビューフォーム上の薬理作用

酸化マグネシウムは、「尿中」と「腸内」で作用する。

【尿中】
尿中ではマグネシウムとシユウ酸(蓚酸)が可溶性の複合体を形成し、
不溶性のシユウ酸カルシウムの形成を阻害する

【腸内】
腸管内でシユウ酸(蓚酸)と結合することにより吸収を阻害する

この2つの作用の結果
尿中のシユウ酸イオンは減り、
シユウ酸カルシウム結晶の形成を抑制すると考えられている。

【補足】
マグネシウムは結石形成阻止物質のひとつであるクエン酸の腎尿細管からの吸収を阻害し,尿中クエン酸濃度を高める作用もあると報告されているため、
適応症として認められている。

※ただし、尿路結石の患者でマグネシウムが尿中に不足している。低い人は少ないため・・・酸化マグネシウムを服用することでどれほど効果があるか議論がされているらしい。

適している人?

個人的に臨床的な面で聞いた結果では、尿路結石を繰り返す人で便秘の場合に
酸化マグネシウムの方が、他の便秘薬よりはいいかな?って感じのケースはあるらしい。参考までに・・・

参考資料
尿路結石症診療ガイドライン 2013年版
日本泌尿器科学会,日本Endourology・ESWL 学会,日本尿路結石症学会編.尿路結石症診療ガイドライン.金原出版.2002.

Taylor EN, Curhan GC. Oxalate intake and the risk for nephrolithiasis. J Am Soc Nephrol. 2007; 18:2198-204.

Lindberg J, Harvey J, Pak CY. Effect of magnesium citrate and magnesium oxide on the crystallization of calcium salts in urine:changes produced by food-magnesium interaction. J Urol. 1990;143:248-51.

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