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胃腸・消化器関連

ウルソデオキシコール酸 (ウルソ)とは?~服薬指導や適応外使用~

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ウルソデオキシコール酸 (ウルソ)は、
意外と個人的に患者への説明が難しいなぁって思ったり・・・
理由や目的をしっかり説明しないと・・・患者が飲まなくなったり難しい薬である。
そのウルソデオキシコール酸について簡単にまとめる。

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ウルソデオキシコール酸 (ウルソ®)とは?

禁忌

ウルソデオキシコール酸には、利胆作用があるので「完全に胆道が閉塞している人」には禁忌である。
また、肝炎に使う薬だが「劇症肝炎」には使えない。
肝硬変やC型肝炎の場合は、症状が悪化する場合があるのでビリルビン値の上昇などに注意する必要がある。

用法用量

基本的には1日3回服用する薬である。ただ、1回の量が50mgなのか100mgなのか200mgなのかは、目的によって違う。病態にもよるが最大量が900mgを超えることはない。
どうしても錠数が多くなるのでアドヒアランスには注意が必要である。
また、薬剤師の業務として「何の病気」に使っているか分からないと評価しにくいので必ず確認しておくと良い。


【添付文書の記載】

・下記疾患における利胆
「胆道(胆管・胆のう)系疾患及び胆汁うっ滞を伴う肝疾患ウルソデオキシコール酸として,通常,成人1回50mgを1日3回経口投与する.なお,年齢,症状により適宜増減する」

・慢性肝疾患における肝機能の改善
「ウルソデオキシコール酸として,通常,成人1回50mgを1日3回経口投与する.なお,年齢,症状により適宜増減する」

・下記疾患における消化不良
「小腸切除後遺症,炎症性小腸疾患ウルソデオキシコール酸として,通常,成人1回50mgを1日3回経口投与する.なお,年齢,症状により適宜増減する」

・外殻石灰化を認めないコレステロール系胆石の溶解
「外殻石灰化を認めないコレステロール系胆石の溶解には,ウルソデオキシコール酸として,通常,成人1日600mgを3回に分割経口投与する.なお,年齢,症状により適宜増減する」

・原発性胆汁性肝硬変における肝機能の改善
「原発性胆汁性肝硬変における肝機能の改善には,ウルソデオキシコール酸として,通常,成人1日600mgを3回に分割経口投与する.なお,年齢,症状により適宜増減する.増量する場合の1日最大投与量は900mgとする」

・C型慢性肝疾患における肝機能の改善
「C型慢性肝疾患における肝機能の改善には,ウルソデオキシコール酸として,通常,成人1日600mgを3回に分割経口投与する.なお,年齢,症状により適宜増減する.増量する場合の1日最大投与量は900mgとする」

作用機序

簡単に作用を説明すると
「ウルソデオキシコール酸を飲むことで、胆汁酸を補い、肝臓の胆汁分泌を促して胆汁の流れを良くする」
この作用のおかげで「胆石を溶かす」ことが出来る。
さらに、肝臓の血液の流れを改善することで肝機能を改善する。

肝機能の改善作用は、イメージしにくいが、ウルソデオキシコール酸が細胞障害性の強い疎水性胆汁酸と置き換わることで、肝臓内での「その」相対比率を上昇させる。結果として、疎水性胆汁酸の肝細胞障害作用を軽減する作用(置換効果)と「サイトカイン」・「ケモカイン」産生抑制作用などが関係している

服薬指導の時は、「肝臓を助ける働きがある」とか説明したりする。
細かい話をすると「小腸切除後の消化吸収を改善する作用」もある。
用法・用量のところにも「消化不良」の項があるのでチェックしておくと良い。

【効果の箇条書き】
利胆作用及び胆汁うっ滞改善作用
肝機能改善作用
消化吸収改善作用
胆石溶解作用

適応外使用

自己免疫性肝炎、薬剤性肝障害、胆汁逆流性胃炎、原発性硬化症胆管炎など

副作用

ほとんど副作用はないが、起こりやすいのは、「下痢」「かゆみ」「胃の不快感」「便秘」などである。
検査値所見としては、肝機能数値(ALT、AST、ビリルビン値)の上昇に注意する。
重大な副作用としては、「間質性肺炎」がある

併用薬の注意

スルホニル尿素系経口糖尿病薬(SU剤)の血糖降下作用を強める可能性があるので注意する
ウルソデオキシコール酸は、SU剤の血清アルブミンの結合を競合的に阻害することで、遊離型のSU剤が増えてしまう。

参考資料
ウルソ®添付文書、インタビューフォーム
胆石診療ガイドライン2016